June 14, 2021 | Architecture, Design | casabrutus.com
世界46カ国が参加する建築界のオリンピック『ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』。「我々はいかに共存していくのか」をテーマに11月中旬まで開催中。
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アート展と交互で2年おきに開催される『ヴェネチア・ビエンナーレ』の建築展。第17回目となる今回はコロナ禍で再三の延期となったのち、1年遅れでスタートになった。全体のキューレションを務めるのはレバノン出身でMIT(マサチューセッツ工科大学)建築学部長、ハシム・サルキス。「How will we live togetherー我々はいかに共存していくのか」が全体のテーマになっている。気候変動、家族の在り方の変化、難民問題、人種やジェンダー問題、二極化など、私たちが直面する問題に対し、世界各地の建築関係者によるさまざまな取り組みが展示になる。
例年の通り、〈ジャルディーニ〉の各国パビリオンではテーマに沿って独自の展示を発表。日本館は『ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡』のタイトルで、建て壊しになった家屋の古材などを会場に持ち込み、昔の暮らしぶりなどの写真とともに展示。パビリオンのピロティや周辺には古材をリサイクルして作られた家具やストレクチャーも展示されている。キュレーターは門脇耕三が務め、長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔の5氏が設計担当として参加した。
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セントラーレ館は「境界を超えて」「ひとつのプラネットとして」の2テーマで展開。旧弾薬庫〈アルスナーレ〉の巨大なスペースの展示テーマは「多様な存在の中で」「新しい世帯のあり方」「これからのコミュニティ」となっている。イラク、グレナダ、ウズベキスタンの3国も今回初参加し、文字通り多様で興味深い内容になっている。
通常はオープン時に各部門の賞が発表になるが、コロナ禍で展示側も審査員も渡航が難しいため、妹島和世が審査員長を務める各賞の選考は8月末になる予定。生涯金獅子賞はスペインを代表する建築家ラファエル・モネオが受賞。イタリア出身でブラジルで活躍した建築家リナ・ボバリディにも特別生涯金獅子賞が贈られている。
ヴァーチャルツアーなどのデジタル展示は例年より充実しているので、要チェック。