June 10, 2016 | Art, Architecture, Travel | a wall newspaper | photo_ Richard Barnes, Lane Coder (pumpkin) text_ Mika Yoshida & David G. Imber editor_ Yuka Uchida
草間彌生のインスタレーション《ナルシスの庭》。なんと、あの珠玉の名作グラスハウスが舞台です。
NY旅行のサイドトリップとして人気の建築スポット、グラスハウス。フィリップ・ジョンソンが自ら手がけた名作住宅に新たな伝説が加わった。美しい自然に囲まれた緑のランドスケープを巧みに使って展開しているのは、草間彌生のインスタレーション《ナルシスの庭》。設置されているのは、直径30cmほどのミラーボール、1300個! 見せ方も実にドラマチックだ。まず門をくぐり、ドナルド・ジャッドの立体作品を右手に見ながら足を進めると、草間のカボチャ作品が目の前に現れる。続いて左手にガラスの家が優美に登場。この宝石箱に近づいて辺りを一望すると、眼下の池に銀色のボールが無数に浮かんでいる……!
ボールの表面には青空や雲、丘の緑が映し出され、中は空洞で見た目の印象よりずいぶんと軽い。かすかな風で、ボールが水面を滑って行ったり来たり。互いにぶつかり合うたび、チリリとかすかな金属音が鳴る。風にあおられ、チリチリチリ「囁き」ながら一斉にこちらに向かうさまは、まるで意志をもつ生き物たちのようだ。 ジョンソン生誕110周年を記念した、グラスハウスと草間による夢の競演。学芸員のアイリーン・シャムによると「グラスハウス(の圧倒的な存在感)に太刀打ちできる作品を生み出せるのは誰か?」と考えた末、草間に白羽の矢を立てたとか。9月4日〜26日の間は、なんと邸宅のグラスウォールがオレンジ色の水玉で埋め尽くされる。こちらも見てみたい。