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〈オークラ東京〉として旧本館ロビーを継承、2019年秋開業へ。

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June 27, 2018 | Architecture, Design | casabrutus.com | text_Keiko Kusano

2015年8月末に惜しまれつつも閉館した〈ホテルオークラ東京〉の本館跡地に、2019年秋、2棟の建物で構成する〈The Okura Tokyo〉が新たにオープンする。

〈The Okura Tokyo〉は、2棟の建物で構成される。正面奥が地上41階建ての高層棟〈オークラ プレステージタワー〉(8〜25階はオフィスフロア)で、左側が17階建ての中層棟〈オークラ ヘリテージウイング〉。

1962年、〈ホテルオークラ東京〉は、「海外の模倣ではなく、世界に通じる日本独自のホテルの創造」を目指してつくられた。建物は谷口吉郎ら5人の建築家による設計委員会によってデザインされ、内装や家具、食器などは画家や彫刻家からなる意匠委員会が選定。当時の建築、工芸デザインの粋を集めたものとして、開業以来、半世紀以上にわたって数々の海外からの賓客を迎え、多くの人々に愛されるホテルとして独自の存在感を放ってきた。

高層棟〈オークラ プレステージタワー〉メインロビーの完成イメージ。旧本館を取り壊す前に緻密に調査・検証したデータをもとに復元される。

中でも、とりわけ皆に親しまれていたのが、谷口吉郎設計による旧本館ロビーだ。新生〈The Okura Tokyo〉では、この旧本館ロビーを高層棟〈オークラ プレステージタワー〉のメインロビーとして精緻に復元することで、意匠の継承を行う。設計を担当するのは、旧本館ロビーを手がけた谷口吉郎の息子である谷口吉生。親子二代によって引き継がれることとなる。壁面にあって移設が難しかった「麻の葉紋の木組格子」は、以前の製作工程を忠実になぞり復元され、「切子玉形」をモチーフにした印象的な照明「オークラ・ランターン」はもちろん、梅の花に見立てた「梅小鉢のテーブルと椅子」、六大陸各都市の時を刻む「世界時計」「行燈」なども再配置される予定だ。

中層棟〈オークラ ヘリテージウイング〉のホテルロビーの完成イメージ。旧本館の大宴会場「平安の間」で長く使用されていた「三十六人家集の料紙」壁画を移設する。

建て替えのため、2015年8月に閉館することが発表される以前から、すでに国内外の“オークラ・ファン”からは保存を要望する声が寄せられていた。『カーサ ブルータス』でもトーマス・マイヤーとともに、同じくオークラを愛してやまないポール・スミス、マーガレット・ハウエル、トム・ブラウンら数々のクリエイター達とともに保存への願いを込め、日本のモダニズム建築特集号やスペシャルムービーなどを制作してきた。

人気の日本料理「山里」は、〈オークラ ヘリテージウイング〉の4階へ。内装設計は谷口建築設計研究所が手がけ、日本庭園と一体となった和の空間を実現する。また、茶室「聴松庵」は解体・保存していた建築部材を使って「山里」の隣に再現される予定だ。

〈The Okura Tokyo〉の客室は合計598室、宴会場は大小20室となり、都内でも最大規模のホテルとなる。開業は2019年9月上旬を予定。今後も、〈The Okura Tokyo〉の動きを注視していきたい。

〈オークラ ヘリテージウイング〉の客室(ビュー・バスタイプ)。標準客室面積は約60㎡と、一般的な高級ホテルより1.5倍から2倍の広さとなる。平均客室単価は7万円を超える見込み。 G.A. DESIGN INTERNATIONAL LIMITED
「The Okura Tokyo」 2019年9月開業
2015年8月31日、閉館当日の〈ホテルオークラ東京〉本館をカーサが密着したムービー。旧本館の様子が見て取れる。

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