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中村拓志が手がけた、もみじまんじゅう〈藤い屋〉のカフェ&ショップ。

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June 27, 2018 | Architecture, Food, Travel | casabrutus.com | text_Rie Nishikawa

もみじまんじゅうで知られる創業90年以上も続く老舗〈藤い屋〉の新工場は、素材を研究する畑、ショップ&カフェなどを通して、作り手とのふれあいが持てる複合施設だ。

〈藤い屋〉は広島・宮島で90年続く、もみじまんじゅうの老舗。もみじまんじゅうはあんと皮でできていて、その原料も小豆、小麦、砂糖、卵とシンプル。そんなもみじまんじゅうの、素材が育つところから工場で焼きあがるまでお菓子づくりの全てを体感することをコンセプトにしているのが〈IROHA village〉だ。

広島市内から西へ車で約30分、瀬戸内海沿いの敷地には、工場棟とショップ&カフェ棟が平行して建ち、その周りを畑が取り囲んでいる。ショップ&カフェ棟、ランドスケープはNAP建築設計事務所の中村拓志がデザインを担当している。

〈畑LABO〉から見るショップ&カフェ棟。小麦色に実っているのは収穫間近の小麦。

「工場施設だけにとどまらず、伝統と誠実さ、未来への想いを広く伝える場を目指し、〈畑LABO〉と名付けた食材研究のための農園の中央にレストランとしても使用可能なテストキッチンやベーカリー、ショップを配置した。カフェの席に行くにはキッチンの前を通るしかなく、そこに作り手との出会いがある」(中村拓志)。

ショップ&カフェ棟の内観。手前がショップ、中央にベーカリーとキッチン、奥にカフェレストランがある。

「店内でも畑を感じられるよう、目地に土をつめた木壁や土左官の天井、テラコッタを用いたショーケースなど畑の土をモチーフにエレメントを決定した。また焼きたてパンをモチーフにした背がもこもこしたベンチ/チェアなどもある。沢山の人に楽しみながら「藤い屋」の想いを知ってもらいたい」(中村拓志)。

工場でしか味わえない焼きたてのもみじまんじゅう1個90円。定番のこしあんのほか、つぶあん、抹茶あん、カスタードクリーム、チョコクリームの全5種類。藤い屋伝統の製法でつくられるこしあんは厳選された北海道産の小豆の皮をむいて炊くことで、豆の味がしっかり感じられる藤色に。
工場では職人が手作業でもみじまんじゅうを丁寧に焼き上げる工程も、工場の外から見学できる。工場のガイドツアーは土日祝限定で1人200円(焼きたてもみじまんじゅう1個付き)。

また〈藤い屋〉では、同じく中村拓志の設計で別ブランド〈古今果〉の本店を2015年に広島・宮島口に開店している。伝統のあんづくりをいかした、現代の生活にあう和洋菓子を提案する菓子ブランドで、古今、和洋を取り合わせた贅沢な空間だ。合わせて訪れたい建築&おいしいスポットである。

〈古今果〉1階のショップから工房が眺められる。JR山陽本線宮島口から徒歩3分、広島電鉄宮島口より徒歩1分。

〈IROHA village〉

広島県広島市佐伯区五日市港2-1-1 TEL 082 943 6603。10時〜18時。無休。JR五日市から徒歩18分、JR・広島電鉄五日市駅より徒歩約18分。JR・広島電鉄宮島口から車で約15分。JR広島駅より車で約30分。

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