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清家清の名作住宅がリアルに蘇りました!

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August 11, 2017 | Architecture | a wall newspaper | photo_Fumito Kato text_Jun Kato editor_Yuka Uchida

名作〈斎藤助教授の家〉が原寸大レプリカで復活。なんと中に入って暮らしを追体験できます。

幅広い開口部と、緩い勾配で軽い印象の屋根が外観の特徴。左右の雨戸の色は、竣工当時に塗られていたもの。

伝説の住宅〈斎藤助教授の家〉が65年前の竣工当時の姿でお目見え! これは、〈東京国立近代美術館〉の展覧会『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』に合わせてつくられた家部分の原寸大のレプリカ。寸法はもちろんのこと、素材や色も資料をもとに検証・再現されている。

斎藤助教授の家

1952年竣工。テラス、廊下、居間・食堂を連続させた開放的な空間とし、可動の家具を配置した、状況に応じて変更できる間取り。既存の基礎を用い、一部が浮いたような姿に。 ©Chuji Hirayama

建築家・清家清の〈私の家(自邸)〉に至る一連の初期住宅群の中でも、最初期のこの作品。バウハウスの創設者、ヴァルター・グロピウスが訪れた際に「日本建築の伝統と近代技術との幸福な結婚」と称して絶賛。清家を自国の事務所に招待した逸話が残っている。寝殿造りを思わせる、高床式で水平的な広がりを持つ構成。ユニバーサルスペースを連想させる、建具を開け放った姿。戦後の復興期にあって、日本的な伝統美と西洋的モダニズムの美学を見事に一致させた小住宅は、まばゆいばかりの光を放っていたのである。

居間と食堂を緩やかに区切る収納家具はオリジナルを借用。
背が高く幅の広い障子戸。

今回の展覧会キュレーターの保坂健二朗は「雑誌に発表された情報に基づいて素材や色彩を検証し、カラーで見られるようにしました。レンガやガラスなども含めてできるだけ竣工当時の状況に近づけたことで、清家の空間が、素材感や色彩も含めて構成されていたことがわかった」と語る。ちなみにこのレプリカ、展覧会終了後の引き取り手は未定だそう。数か月で壊してしまうにはもったいない。我こそはという施設はぜひ名乗りを!

『日本の家1945年以降の建築と暮らし』 

〈東京国立近代美術館〉東京都千代田区北の丸公園3-1 TEL 03 5777 8600(ハローダイヤル)。〜10月29日。10時〜17時(金・土〜21時)。月曜休(祝日は開館、翌日休)。観覧料1,200円。

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