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岡本太郎による巨大壁画《明日の神話》が絶賛修復中です!

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January 11, 2024 | Art | a wall newspaper

渋谷駅のパブリックアートは設置されてから15年。初の大規模修復を受けて、企画展も開催しています。

《明日の神話》原子爆弾が炸裂する瞬間を乗り越える人間の姿を描く。5.5×30mと岡本太郎最大の絵画。メキシコシティのホテルのために制作。1969年に仮設置されるも、ホテルは未完で作品は行方不明に。2003年に発見され現在に至る。

渋谷マークシティの連絡通路に飾られる《明日の神話》。2008年から公開され、15年目となった昨年秋に初の大規模改修プロジェクトがスタートした。

そもそもこの作品は岡本太郎の芸術観「芸術は暮らしの中に生きるもの」を反映したもの。日々何十万もの人々が行き交う渋谷にあること、保護用の障壁がないことがそれを象徴しているだろう。一方、それゆえ湿度や気温の変化などの影響を直接受けてしまうのも事実。結果、変色したり、ところによっては亀裂や剥落が起きる箇所もあるという。この15年の間にも、状態を維持するために表面のホコリを落とす活動「すす払い」を毎年10月に実施。とはいえ近年は酷暑の影響で傷みの進行も早くなっており、今回の改修を決めた。

実際に使われた吉村絵美留の仕事道具。補彩に使う40本もの絵筆や、コーティング剤を作る器具も。

指揮をとるのは絵画修復家の吉村絵美留。「すす払い」はもちろん、03年の壁画発見時の調査から修復に至るまで、チームリーダーとして作業にあたってきた専門家だ。表面のメンテナンスから作品と裏面の接着も実施。第1期となった昨年は10月から約40日かけて壁画に向かって右部分を改修した。終了後に遠目から眺めてみると、ひときわトーンが明るくなっていることが見てとれる。気候が落ち着くのを待ち、今秋には第2期、来年秋に第3期と数年かけて続けていく予定だ。

修復の技をクローズアップ。亀裂や剥離を起こした箇所が白く変色している。修復によってコーティングや補彩を施して現在のような形に。今後50年、大規模な修復がなしでも美しく保てるように、今秋以降も作業は続く。

また改修の開始に合わせて、〈岡本太郎記念館〉では展示『《明日の神話》と《太陽の塔》』が開催中。パブリックアートかつ超大作だからこその、蘇り続ける姿をじっくり味わおう。

《明日の神話》の一部の原寸大パネル。

『《明日の神話》と《太陽の塔》』

1969年9月から70年3月のわずか半年の間に続々と完成した両作にまつわる展示。2024年3月10日まで。〈岡本太郎記念館〉東京都港区南青山6-1-19 TEL 03 3406 0801。10時〜18時。火曜休。一般650円。

岡本太郎

おかもとたろう 1911年神奈川県生まれ。30年代にパリ、戦後は日本で前衛芸術運動に参加・展開。70年大阪万博のテーマプロデューサー。1996年没。

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