January 17, 2022 | Architecture, Design | a wall newspaper
重松象平率いるOMA NYの『サーチ・ターム』。「検索ワード」という名の作品集とは、はたして一体!?
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OMA NYの過去から現在までのプロジェクト23件を収めた『サーチ・ターム』は、実に計676ページ。住宅や美術館、ギャラリー、大学や複合施設、展覧会デザイン、公共空間など多種多様な作品、そして設計につながるインスピレーションや思考プロセスまで見せる画期的な作品集だ。
OMA NYは建築のプロセスにストーリー性をもたらすことを重視する。作品集も、写真を並べるだけでは伝わらないと考えた。重松象平が各地で行うレクチャーのパワーポイント素材を本にしてはどうか? さらには検索エンジンから多角的に情報を引っぱるサーチ・ターム(検索ワード)のように、検索結果を思わせる画像やテキストで作品を掘り下げる。一見膨大なデータ集積のようで、実は一つの物語をなす作品なのだ。
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随所に登場する対談の人選にも注目したい。故ヴァージル・アブローや音楽家デイヴィッド・バーン、食の革命家アリス・ウォータースなど、皆その道の第一人者にして建築など様々な分野との関わりで知られる人々だ。彼らに「世代」「協働」「時代性」など統一した問いかけを行うことで、各人の考えの差異、またOMA NYや自身との違いも複眼的に見えてくる。
作品集作りはOMA NYのアイデンティティを改めて確認するプロセスでもあったと重松は語る。「OMAのNY事務所」に留まらない、多様化したOMA像の一つとして独自性を打ち出し成果を得ていく中で、今一度、自らのアイデンティティを「サーチ」した。そしてなるべくすべてのイメージを開示することで、それが彼らのアーカイブともなり、アーカイブは本のコンテンツへと昇華する。
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建築の作品集は「功績」を披露する本になりがちだ。「それに対しレム・コールハースは『S,M,L,XL』を辞書形式で著しました」と重松。「今回の『サーチ・ターム』はサーチエンジン。辞書からさらに進化しています(笑)」
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