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祝・世界自然遺産『やんばるアートフェスティバル2021-2022』注目のアート&クラフト10。

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December 25, 2021 | Art, Architecture, Culture, Design, Travel | casabrutus.com

今年で5回目となる『やんばるアートフェスティバル』が開催中。「やんばる」と呼ばれる沖縄県北部の開催エリアは、2021年7月にはユネスコの世界自然遺産に登録されたこともあり、沖縄本島の中でもいっそう注目を集めている。沖縄ならではの時間の流れのなかで、アートやクラフトの魅力を堪能したい。

【エキシビション部門】のん《ちょうちょとガジュマル》| オクマ プライベートビーチ&リゾート

女優・創作あーちすととして活躍する、のんが制作したのは「ちょうちょとガジュマル」。〈オクマ プライベートビーチ&リゾート〉に雄大にそびえるガジュマルの木に多数のリボンが散りばめられた作品だ。木の根本から枝の先まで迫ってゆくようにぎっしりと重なる様々な彩りの赤いリボンによって、可愛さと不気味さという、一見矛盾するようなパワーを表現している。明るい昼間の時間と、夕暮れ時、朝方の光など時間帯によっても印象が変わるため、宿泊とセットで楽しみたい作品。

【エキシビション部門】THE SNOWFLAKES from TOBIU ART COMMUNITY《sync》| 大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティティーセンター)

北海道で結成された〈THE SNOWFLAKES from TOBIU ART COMMUNITY〉は、発案者の奈良美智、飛生アートコミュニティーのアーティストである国松希根太、小助川裕康、奥山三彩の4人で構成されている。これまで海の漂流物を組み合わせたインスタレーション作品を展開してきた彼らだが、今回は北海道と沖縄を“海”でつなぐ思いを込めて、海水の結晶(塩)や漂流物などを、空中に浮かぶガラス板に載せて光と影で演出している。今年、大量の漂着で問題となっていた沖縄の軽石にも目を向け、北海道・沖縄双方の軽石も展示物に使用している。

【エキシビション部門】我喜屋位瑳務《BUG / GLITCH》| 大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティティーセンター)

沖縄で生まれ育ち、ドローイングやコラージュ、ペインティングなど多様なメディアを使用して作品を制作するイラストレーター、我喜屋位瑳務。25歳までを過ごした沖縄で、アメリカのテレビ放送を受信して視聴していた経験なども作風に現れている。今回の作品は架空の神話をテーマとして、一つ一つの場面を描いた油彩画。一見、レトロな漫画を彷彿とさせるプリントのようにも見えるが、一筆ずつの油彩で描いた筆致にも着目してほしい。展示会場である〈大宜味村立旧塩屋小学校〉の教室で使われていた「エプロン入れ」などのロッカーがそのまま残されたどこか懐かしさを感じる空間との組み合わせも楽しめる。

【エキシビション部門】谷本研《やんばる旧小学校々歌八景》| 大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティーセンター)

「観光」をモチーフとして、アートとその周縁の環境に関わりながら企画活動を行う谷本研。今回の展示会場が〈大宜味村立旧塩屋小学校〉という廃校であることから、校歌に着目。校歌には地元の人々が誇りに思う郷土や風景が描かれやすいことから、近隣で廃校となった8校の校歌を八景に見立てた絵画と、オルゴール作品を制作。現地での取材を重ねて、それぞれの歌詞や楽譜を作品に反映している。現在も楽譜を捜索中の廃校もあり、このアートフェスティバルを通して、さらに地元との繋がりを深めてゆく過程にも注目だ。

〈大宜味村立旧塩屋小学校〉の体育館からは目前に海が望める。

【エキシビション部門】「沖縄・記憶と記録」プロジェクト《OKINAWA memories and records - progress report -》| 大宜味村役場旧庁舎

1958年創刊の月刊写真誌「オキナワグラフ」の編集部が所有する写真や、貴重な沖縄音楽のレコード、CDなどをベースに、2022年視点から沖縄をクロニクル化するプロジェクト。国指定重要文化財に指定された〈大宜味村役場旧庁舎〉を会場に、「オキナワグラフ」のバックナンバーの表紙や、時代の変遷とその時々の生活が垣間見える記事のアーカイブ、レコードのジャケットなどを展示。当時を彷彿とさせるインテリアや家具も配置されており、記事の中で描かれる時代にタイムスリップしたような感覚に。来年「本土復帰50年」を迎える沖縄を、様々な切り口から振り返るという点でも貴重な展示だ。

〈大宜味村役場旧庁舎〉外観。

【クラフト部門】|大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティーセンター)
「やんばるを嗜む」をテーマに、森をイメージした内装で嗜み方を想像しながら楽しんでもらいたいとの思いから、セレクトショップ「PORTRIVER MARKET」主宰の麦島美樹・哲弥がキュレーション。

〈亞人〉/藍染

40年間、有機農業を生業としていた両親から今帰仁村にある畑を譲り受け、10株の苗の“藍畑”を作るところから藍染をスタートした、〈亞人〉の早瀬泉。琉球ならではの古典の柄をサンプリングした布製品は、日常使いにはもちろんだが、インテリアのアクセントにもなる。

〈O’ Tru no Trus〉/オブジェ

漂着物を素材として表現する、〈O’ Tru no Trus〉によるオブジェ。テーマとして掲げるのは、「自分の世界と外の世界との接点をつくるように」。流木や軽石、木の実など海から流れ着いたものを仕立てており、部屋に飾るだけで遠い海の向こうに思いを馳せられる作品が多数。

〈陶芸玉城〉/陶器

やちむんらしい柔らかな藍色・茶色・アイボリーの色合いで描かれる幾何学模様や、植物をモチーフにした柄が特徴の〈陶芸玉城〉。経済産業大臣表彰激励賞を受賞した玉城望と、沖展日本民藝賞を受賞した玉城若子の夫妻によるユニットだ。構えのおおらかな器は幅広い食事に馴染むのはもちろん、飾るにも良いモダンな佇まい。

〈南の島の布紀行 いろいろ〉/紅型(びんがた)

手作業で一色ずつ顔料を刷り込んで染めている〈紅型工房ひがしや〉。彼らが「南の島の布紀行 いろいろ」という名義で展開する小物は、華やかな色合いで彩られるテキスタイルが特徴。ヤンバルクイナをモチーフにした作品などはこのやんばるエリアでしか販売しておらず、地域へのこだわりも感じられる。

〈ARTICLE〉/ハーブ石鹸・泡盛・カラキ茶

『やんばるアートフェスティバル』のためにオリジナルで商品開発された、やんばるクラフトセレクション〈ARTICLE〉。オーガニックの店〈MELLOW GREEN TAKAE〉とのハーブ石鹸や、琉球の芭蕉紙でのラベル・掛け紙にこだわった泡盛の古酒《山原知新》、シナモンのような香りが特徴のやんばるで親しまれるカラキ茶など、この地域ならではのラインナップ。

『やんばるアートフェスティバル』

会場:大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティーセンター) / 大宜味村役場旧庁舎 / オクマ プライベートビーチ & リゾート / 辺土名商店街 / オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ / カヌチャリゾート / 名護市民会館前アグー像 時間:11時〜17時(大宜味村立旧塩屋小学校・大宜味村役場旧庁舎・辺土名商店街の各会場)。火曜休、12月31日、1月1日休。

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