November 12, 2021 | Architecture, Design | casabrutus.com
菊竹清訓の代表作〈旧館林市庁舎〉をはじめ、知られざる名建築が残る群馬県館林市。この街を舞台に、建築とデザインを存分に楽しめる一日限りのイベントが開催に。都内からも日帰りできるデザイントリップをぜひ!
1963年、35歳の菊竹清訓が設計した〈旧館林市庁舎〉。実現した数少ないメタボリズム建築のひとつで、3階以上のフロアが飛び出たダイナミックな外観は、一度見たら忘れられないインパクトだ。内部のサイン計画や色彩計画はグラフィックデザイナーの田中一光に依頼。この建築のために家具を設計するなど、若き建築家の情熱が刻まれている。
新庁舎の完成以降は市民センターとして活用されている〈旧館林市庁舎〉。この名建築に焦点を当て、群馬県館林市を舞台に、建築とデザイン、そして名作家具に触れられるイベントが開催。3つの会場に一日限りのドラマチックな空間が現れる。
まず、ひとつ目の会場である〈旧館林市庁舎〉で開催されるのは『メタボリズム建築と旧館林市庁舎』展。建築内を一般開放する他、当時の建築図面やオリジナルの関連家具、田中一光によるタイポグラフィー関連資料が展示される。日没後は館内照明点灯によってライトアップもされ、特別に屋上も観覧できる。特徴的な屋根の構造を屋上から見ることができる貴重な機会だ。
2つ目の会場〈武鷹館〉と、3つ目の会場〈旧秋元別邸〉で開催されるのは 『ART& DESIGN TATEBAYASHI 椅子』展。〈武鷹館〉は館林市指定重要文化財にも指定されている武家屋敷で、ここは民芸を中心とした名作家具を。〈旧秋元別邸〉は明治後期に建てられた旧館林藩主秋元家の別邸で、広大な庭や室内に世界のデザインチェアを展示する。注目は、坂倉準三や柳宗理、倉俣史朗といったジャパニーズモダンの貴重なオリジナル家具。さらに、シャルロット・ペリアンやピエール・ジャンヌレなどフレンチモダンの名作も展示され、歴史ある日本建築とのコントラストが楽しめる。
イベントを企画したのは、館林市にある眼鏡店〈garage〉と〈田部井石材〉、そして東京を拠点にモダンファニチャーを扱う〈ATELIER GALLERY〉と〈Objet d' art〉の4組。そこに館林市役所産業開発課の協力が加わり、特別な1日が現実のものとなった。館林市は東京駅から電車で約2時間。秋のデザイントリップにおすすめしたいイベントだ。