September 5, 2016 | Art, Architecture, Design | casabrutus.com | photo_Kenya Abe
text_Keiko Kusano
もはやデスクトップを凌駕するマシンパワーを得た《iPad Pro》。実際、建築やクリエイティブな領域でどのように使えるのか? 今《iPad Pro》でできる、すごいこととは。
オフィスでも現場でも、チーム内の情報を最新の状態に保つことができるオートデスク社のワークツール〈A360〉。現場での問題点がすぐに共有されるため、解決策もスピーディーに決まる。
《iPad Pro》は、建築界にイノベーションを起こしつつある。2015年11月、12.9インチの《iPad Pro》が登場した際の
インパクトは記憶に新しいところだが、最新モデル9.7インチの《iPad Pro》は、マシンパワーとコンパクトな筐体が、さらにその可能性を押し広げた。
多くの建築家に支持されているCADソフト《AutoCAD》を開発するオートデスク社は、現在、クラウドをフルに活用できる環境を提供している。たとえば、現場で図面データなどを参照、表示することはもちろん、現場の写真を撮って、そのままクラウドでオフィスと共有したり、コメントを残しながらデータを修正することなどが簡単にできる。
つまり、紙を中心にチームで共有するという従来のやり方を、飛躍的に変えているのだ。クラウド環境を整えれば、いつでもどこでもチーム一人ひとりがプロジェクトに参加できる。
オートデスク社の〈FormIt 360〉を使えば、建築の3Dスケッチも自由自在。
さらに、3Dデータも難なく動かせる《iPad Pro》は、現場で使える力強いツールとなった。屋外での光の反射も、Retinaディスプレイの鮮明さはそのままに最新の反射防止コーティングが施されているため、実用的だ。これまでデスクトップPCを中心にオートデスク社のクラウドを利用していたユーザーは、《iPad Pro》でワークフローが劇的に変化している。
Apple Design Awardなど数々の受賞に輝いたイラストレーション・アプリ〈Procreate〉は、プロ・アマ問わず、多くのクリエイターに愛用されている。
絵を描くために特化した〈Procreate〉は、人気の定番イラストレーション・アプリ。《iPad Pro》と《Apple Pencil》の組み合わせで、さらに〈Procreate〉の世界は広がりを見せている。
直感的に操作できるスマートなインターフェースで、鉛筆や水彩、パステルなど、思いつく限りの、ありとあらゆるリアルな画材を再現できる〈Procreate〉。ブラシの形状や大きさも自由自在に変えられるのが特徴だ。特に注目したいのは、自作のブラシ形状やテクスチャを登録できる点。表現に合わせてオリジナルのブラシをいくつでも追加できるのだ。
さらに注目の機能として挙げられるのが、4K解像度で描画工程を録画できることだ。絵を描く工程――どんな順番で、どのように着彩しているのか――その一部始終を映像として録画することができる。この機能を使って、自分自身の制作工程を振り返ることもできるし、YouTubeなどを使って、すぐに一般公開することも、もちろん可能だ。これまで垣間見ることのできなかったプロの描画工程も、公開されることが格段に増えている。
寺田克也氏のライブドローイングの模様。2015年の個展『寺田克也ココ12年展 ~絵を描いて生きていく方法?~』で行われたもので、線画から着色まで描く順番も含め一部始終を見ることができる。
上記の動画は、イラストレーターで漫画家の寺田克也氏のライブドローイングの模様。美しく緻密な彼の絵がどのように構築されていくのかを、つぶさに観察することができる。こうしたプロの描画の工程を見ることができるのは、プロを志す人はもちろん、作品鑑賞の一助としても、非常に有意義なことだと感じる。
ちなみに、現在、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中の 『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』(9月25日まで)でも、寺田克也氏のドローイング映像が展示されていて、注目を集めている。
自然な感覚ですらすらと描くことができる《Apple Pencil》(別売り)。《iPad Pro》での描画力を支える強力なツールだ。
さらに《Smart Keyboard》(別売り)を装着すれば、キーボード入力も可能に。PCを持ち歩く必要がなくなる人も多いだろう。
9.7インチの《iPad Pro》なら、シルバー、スペースグレイ、ゴールドに加えて、ローズゴールドもチョイスすることができる。(写真左からローズゴールド、スペースグレイ)
アップルは、9月8日午前2時(日本時間)から、サンフランシスコでスペシャルイベントを開催する。今回のキャッチコピーは、「See you on the 7th」。いよいよ《iPhone 7》(仮称)の発表となるのか、はたまた次世代の《Apple Watch 2》(仮称)が登場となるのか――毎回、驚きのイノベーションを発表するアップルに、引き続き注目していきたい。
《iPad Pro》
9.7インチ66,800円〜。公式サイト