June 17, 2021 | Architecture | a wall newspaper
ポスト・コロナの建築の鍵は猫にあり?! スター建築家の個展『隈研吾展』が教えてくれること。
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千駄ヶ谷に完成した〈国立競技場〉を例に挙げるまでもなく、最も名前の知られた日本人建築家の一人である隈研吾。その建築世界を堪能できる大個展『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』が〈東京国立近代美術館〉で開催される。
……猫? そう、猫! 「コロナ後の “脱集中時代” の原理となる新しい公共性のあり方を、自由にさまよう猫の視点をヒントにして探ります」と隈。本展では主に、世界各地にある隈作品から公共性の高い68の建築を紹介。作品は時系列や場所別ではなく、“孔” “粒子” “斜め” “やわらかい” “時間” という5つの原則で分類する。「模型や写真はもとよりアーティストによる映像作品を通じて体験してみてください」と隈は語る。
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隈が自らの建築を通じて追い求めてきたこの5つの原則は、近・現代の主流を占めてきた、コンクリートや鉄でできた密閉性の高い建築とは大きく異なる。展覧会の名が示すように猫が好きそうな空間ばかりだ。“孔”に隠れたり通り抜けたり、あるいは “やわらかな” 場所や“時間”の経ったボロボロの場所で寝そべったり……。猫がのびのびと過ごせるような空間にこそ、人間たちの建築の未来が見えるのかもしれない。
5原則はさらに、本展のためにTakramとのコラボでつくりあげた「東京計画2020」に昇華する。「猫目線の、猫にも優しい都市の未来像」と言うから、丹下健三らによる「東京計画1960」からするとかなり脱力系だけど、なんだか自由で楽しそう! 建築の、都市の明るい未来を探しに、ぜひ出かけてみたい展示だ。
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