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村野藤吾デザインの〈ウェスティン都ホテル京都〉が温泉付きで大リニューアル!

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May 13, 2021 | Design, Architecture, Travel | casabrutus.com

昨年7月の村野藤吾による数寄屋風建築〈佳水園〉のリニューアルに続き、敷地内に湧く天然温泉「京都けあげ温泉」を利用した京都最大級のSPA〈華頂〉が2021年4月6日に誕生し、グランドリニューアルを迎えた〈ウェスティン都ホテル京都〉。

日本のモダニズム建築の担い手・村野藤吾が手がけた数寄屋風建築〈佳水園〉は、「村野数寄」の精神を大切にして改修された。

明治時代に開通したばかりの琵琶湖疏水の水を引き入れ作られた、京都の街を一望する遊園地〈吉水園〉をルーツに、2020年に開業130年を迎えた〈ウェスティン都ホテル京都〉。華頂山の裾野に広がる敷地に建つホテルは、長い歴史の中で国内外の要人を迎え伝統を育んできた。2018年からはラグジュアリーホテルへと進化すべく、「The Queen of Elegance(クイーンオブ エレガンス)」をコンセプトに大規模なリニューアルを開始。東館客室、本館、ティーラウンジやレストラン、バーと順次改装が行われてきた。2020年7月には昭和の名建築として名高い〈佳水園〉がリニューアル、そして2021年4月には天然温泉を利用したSPA〈華頂〉がオープンを果たし、3年に渡るグランドリニューアルがついに完了した。

リニューアルを経て客室数は499室から266室に。ひと部屋ごとにラグジュアリーさを体感できる仕立てになった。

とりわけ注目が集まるのは、村野藤吾による昭和の名建築として名高い数寄屋風建築〈佳水園〉のリニューアルオープンだ。華頂山に続く高低差のある地形を活かした美しくリズミカルな外観と、細部まで工夫が凝らされた渡り廊下やロビーなどのデザインは継承。2つの客室を1室にし、ベッドルームとリビングルームを分けることで居住性を高めた。さらに敷地内で湧出した天然温泉をすべての客室に引き込み、プライベートに天然温泉を楽しめるのも大きな魅力となっている。

設計監修を手がけたのは建築家・中村拓志(NAP建築設計事務所代表)。

「佳水園は幾重もの庇による浮遊感が印象的な、日本の近代建築を代表する傑作です。今回のリニューアルでは、村野氏の空間や庭の美しさを引き立てるような、控えめで慎ましい設計が相応しいと考えました。そこで伝統的な数寄屋の手法でありながらも現代生活との親和性をはかり、最新の建築技術や素材を積極的に導入した『村野数寄』の精神を踏襲しました。 床座に不慣れなお客さまでも寛いでもらえる和のローソファやベッド、スチール棒で編んだ繊細な下地窓、そして三次元和紙によって小さくモダンにリモデルした村野ブラケット照明や七宝編みのナイトランプなど、『村野数寄』の繊細な空間に現代技巧が調和した、未来につながる現代数寄を目指しました」

との思いをリニューアルに際し寄せている。

〈佳水園〉白砂の中庭は村野藤吾による、醍醐寺三宝院の庭を模したデザイン。瓢箪と杯を緑で表現し、佳水園庭園の岩盤から流れ出る滝の水を酒に見立てている。

大規模リニューアルの締めくくりとして、2021年4月に完成したのがSPA〈華頂〉。敷地内で掘削した、疲労回復や冷え性に効用がある天然温泉「京都けあげ温泉」を使用し、半露天風呂と内湯、ジャグジー、サウナと温泉がウェルネスをもたらす。内装デザインには村野藤吾の柔らかなフォルムへのオマージュとして、曲線美や水の流れを感じさせる不定形なフォルムを取り入れ、ホテルの歴史へと思いを馳せる意匠となっている。とりわけ南禅寺の水路閣を思わせるアーチをあしらった半露天風呂は、華頂山に続く庭園と一体となり、流れる水の音を聞きながらの入浴が可能。東山の自然を五感で感じ開放感にる温泉は、これまで京都の街中では成し得なかった体験をもたらしてくれるものだ。

その一角に新設されたのがスキンケアブランド〈ソティス〉直営のリトリートサロン〈ル・ジャルディン・ソティス〉。そのルーツに繋がる「庭園=ジャルディン」をテーマに、古都に湧く源泉のほとりに新たな美の庭園を展開。温泉浴からスパトリートメント、指圧、鍼灸、瞑想まで多彩なメニューを組み合わせ、現代の湯治を提案してくれる。

男性内湯、女性内湯と併せて備える半露天風呂。華頂山へと続く庭園と一体となって、自然を体感できる。

2019年にいち早くリニューアルを終えた東館と本館の客室は、ぬくもりを感じる木の風合いを取り入れ、東山の自然を感じられる造りに。東館は京都の夏の風物詩・川床をイメージしたカーペットや梅の花を模したスツールなど、日本や京都らしさを感じさせるデザインを散りばめた。本館の客室はこれまでの2室を1室にし、スイートルームが大半を占めるのが特徴だ。ベッドルームとリビングを分けることで、ますますゆったりしたくつろぎの空間を実現している。

村野藤吾の優美さや曲線美をインテリアで表現した、エレガントモダンなジュニアスイート。リビングとベッドルームは緩やかに分けられている。

京都市文化財(名勝)に指定された2つの日本庭園をはじめ、数々の庭園を敷地内にもつ〈ウェスティン都ホテル京都〉。2020年6月には京都の街を一望する屋上庭園が加わり、折々に咲く花が京都の四季を伝えてくれる場所となっている。

レストランも2019年に一新された。メインダイニングにはフランス人シェフ、ドミニク・ブシェ監修による〈ドミニク・ブシェ キョート〉が誕生。フランス直送の食材と京野菜、近郊から届けられる新鮮な魚介類を使い、軽やかで味わい深いソースで味わうガストロノミーフレンチ。そしてフレンチのエスプリを加えたカウンターでの鉄板焼き。2つのスタイルで美食のエレガンスを伝えてくれる。

高い天井と三条通に面した一面のガラス窓からの光が心地よいオールデイダイニング〈洛空(らくう)〉はブッフェ形式のレストラン。目の前でシェフが料理を仕上げてくれるライブキッチンには、西洋料理、日本料理、デザート、ベーカリーと4つのカウンターが設けられ、五感を刺激される仕掛け。春にはインクラインに咲く桜を独り占めするような、特等席も用意されている。同時にティーラウンジ〈メイフェア〉もリニューアル。イギリスの新進気鋭の紅茶ブランド〈JING TEA(ジンティー)〉の紅茶と共に味わう、季節のアフタヌーンティーはすでに評判となっている。

“The Queen of Elegance が舞い降りた山麓の丘“をコンセプトに、曲線を生かした優美なデザインの屋上庭園。

100種類ものシャンパンや、カクテルベースに国産のジンやラムを揃え、ピアノの生演奏も楽しめるバー〈麓座(ろくざ)〉もまた、リニューアルで新たに。かつてのバーで使われていた扉を内装に取り入れるなど、受け継がれてきた伝統をさらに未来へと繋ぐスピリッツが漂っている。

グリーンをベースにしたインテリアが印象的なバー〈麓座(ろくざ)〉。

アインシュタインやダイアナ妃ら、各国の皇室や大統領などの国賓からVIPまで、宿泊者の錚々たる顔ぶれに歴史の重みを感じる〈ウェスティン都ホテル京都〉。伝統を未来へと受け継ぐためのリニューアルで、備わったのはさらなるラグジュアリーさと、温泉というホスピタリティ。新しいホテルが続々と登場する京都にあって、何ものにも代え難い歴史と伝統。どう進化を遂げたのか、体験する楽しみがまた加わった。

〈ウェスティン都ホテル京都〉

京都府京都市東山区粟田口華頂町1(三条けあげ)TEL 075 771 7111。全266室。1室80,000円〜。地下鉄東西線蹴上駅徒歩2分。

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