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数奇屋大工出身の建築家が手がけた”肉を楽しむ”空間とは?

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March 25, 2020 | Food, Architecture | casabrutus.com

数奇屋大工の職人出身という異例の肩書きをもつ建築家、佐野文彦。数奇屋造りの技法をベースに日本らしいデザインに取り組む佐野が手がけた最新作は、なんと”肉”の空間でした。

軒の下には肉屋さながらのショーケース。ここから肉が取り出され、料理に仕立てられていく。

「流行の赤身肉もいいけど、実は霜降り肉も好きなんだよね」。そんな方にお待ちかねの店が、3月6日、丸の内に誕生した。すき焼きをメインに、しゃぶしゃぶ、鉄鍋を用いたオイル焼き、ビフテキなど和牛の専門店だ。

店名の「十二天」とは、食肉業界で12段階で評価する牛肉のサシの状態の最高点を指す“12てん(点)”と、仏教では仏教徒を守護する12の天界に住む神々(天)の総称を“十二天”と呼ぶことに由来する。

看板メニューのすき焼き。ディナーコースは相盛、霜降ともに12,000円。その他しゃぶしゃぶ、オイル焼き、ビフテキと肉づくしのコースが用意されている。

グランシェフを務めるのは、和牛の目利きスペシャリストと呼び声高い〈The INNOCENT CARVERY〉の岡田賢一郎氏。松阪牛、神戸太田牛など、日本全国A5ランク十二等級の和牛のみを厳選し、「良質の脂をもつ霜降り肉の牛の赤身だからこそ、真のうまさがある」と、和牛の最高級の赤身と霜降り肉をバランスよく味わわせてくれる。

店の看板メニューのすき焼きコースは12,000円(※ディナーの場合。ランチは8,000円)。先付け・自家製の生ハムメロン、刺身・ユッケと続き、生肉ならではの食感や旨みを味わってからメインディッシュのすき焼きへ。牛肉は、霜降りか霜降と赤身の相盛かをチョイス可能。その日ベストなコンディションのブランドと部位を見極めてカットしたものを、目の前で調理してくれる。上品な肉の香り、舌の上でほどけるきめ細かな肉質、旨みの余韻は言わずもがな。至福の時間を約束してくれる。

個室もあるので接待など様々な用途で使える。天井の網目は光の入り具合により美しい影を落とすよう設計されている。

上質な精肉店の如く牛肉を美しく並べたショーケースをはじめ、木材と土壁を用いた内装デザインは、数寄屋大工職人を経て建築家として独立した佐野文彦氏。

「十二天という肉質を表現した店名から、“素材を味わう店”をコンセプトとしました。カウンターやテーブル、軒先のような天井や壁面、柱や丸桁などには、一枚物の無垢のヒノキや杉、北山丸太などの様々な素材と、それをつなぎ合わせ仕上げる技術を感じることができるディテールをちりばめた空間によって、料理との親和性を高めています」

落ち着いた和の空間と、選びぬいた牛肉を用いたすき焼き、素材の個性を両者でじっくりと堪能したい。

〈すき焼 十二天〉

東京都千代田区丸の内2-6-1 ブリックスクエア3F TEL 03 6259 1595。11時~15時(14時LO)、17時~23時(22時LO)。休みは施設に準ずる。

佐野文彦

さのふみひこ 1981年奈良県生まれ。京都、中村外二工務店にて数寄屋大工として弟子入り。年季明け後、設計事務所などを経て2011年に独立。2016年には文化庁文化交流使として世界16か国を歴訪し、各地でプロジェクトを敢行。さまざまな地域の持つ文化の新しい価値を作ることを目指し、建築、インテリア、プロダクト、インスタレーションなど、国内外で領域横断的な活動を積極的に続けている。

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