August 2, 2019 | Architecture | casabrutus.com
スペイン、カタルーニャのガロッチャ火山地帯にある小さな町、オロットで活動するRCRアーキテクツ。彼らが未来を見据えて自らの手で作ろうとしているプロジェクト「ラ・ヴィラ」とは?
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この夏、バルセロナの〈アーツ・サンタ・モニカ美術館〉で「RCR. El Somni de La Vila(RCR ラ・ヴィラの夢)」と題された展覧会が開催されている。「ラ・ヴィラ」とは、オロットの近郊に広がる豊かな自然の中で、世界中の人を巻き込みながら建築や景観を想像し、創造していくという実験的な彼らのプロジェクトだ。2018年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展カタルーニャ館での「Somni i Natura(夢と自然)」展、そして今年の1月から3月まで東京の〈TOTOギャラリー・間〉で行われた「夢のジオグラフィー」展に続く、彼らの「夢」の展示の第3弾となる。
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ヴェネツィア展、東京展を見逃した地元カタルーニャの人々に、あらためて彼らの「夢」を紹介するという意味も大きいが、今回の展示のメインはなんと行っても吉野の福西和紙本舗でつくられた極薄の宇陀紙、数百枚が巨大な空間に舞う立体的な水彩画だろう。〈TOTOギャラリー・間〉での和紙作品の展示で、RCRはスケッチという存在が何かを伝えるための手段(メディア)というだけでなく、描かれたイメージ自体が空間をつくる素材になりうるという確かな手応えを得た。そこで今回は、同様の手段を用いてより大きな吹き抜けの展示空間内に、等身大の樹木のスケールを再現したかのような描画の森をつくりだした。そのすぐ傍らには、建築写真家の鈴木久雄とビデオ・アーティストのジュリア・デ・バイェによるドキュメンタリービデオが大きなスクリーンに投影され、ラ・ヴィラと吉野の森、そして和紙に描かれた森が交錯する幻想的な空間をつくりだしている。
会期中、オロットのバルベリ(RCRのスタジオを含む彼らの拠点)とここ〈アーツ・サンタ・モニカ美術館〉を繋いで、RCRが主催する夏季ワークショップで行われるダンス11作品やカンファレンスなどを生中継で楽しむこともできるという。