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〈メゾン キツネ〉新店はホテルオークラでした!?

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March 10, 2016 | Fashion, Architecture | a wall newspaper | photo_Junpei Kato text_Jun Ishida

3月にオープンした〈メゾン キツネ代官山〉。そこにはオークラへのデザイン愛が詰まっていました。

1階の漆塗りのテーブルはトリコカラー。
「オークラ本館の取り壊しを聞いたときから構想し始めました」

〈メゾン キツネ代官山〉のオープン当日、クリエイティブディレクターである黒木理也は呟いた。漆のテーブル、障子窓に透ける竹林、格子柄の床にルーバーの天井……。ここには、昨年8月末に建て替えのため閉館となったホテルオークラ東京へのオマージュとして、本館ロビーのデザイン・ディテールがそこかしこに取り入れられている。

「オークラの空間に漂う美意識が好きでした。照明、素材、色使いなどすべての要素が組み合わさってノスタルジーを誘います。深夜の誰もいないロビーなどは、デヴィッド・リンチの映画のような不思議な感覚があるんですよね」
天井には亀甲紋形の間接照明を設置。壁には日本のテキスタイルを用い、壁と天井の切り返しの部分のディテールが浮かび上がるよう照明を工夫した。
階段の手すりにはレザーを使用。色の変化が楽しみだという。
〈メゾン キツネ〉を立ち上げる以前は、ジャン・ヌーヴェルの事務所で働いていたという経験も持つ黒木。「建築の大学に通いながら最初はインターンから始まり、アシスタントとして模型を作ったり製図を引いたりしていました。当時の僕には憧れの職業で、毎日夜中まで働いていました」と振り返る。

代官山店は、黒木にとって初めて自分が設計した建物ともなった。

「自分の家を建てるつもりでつくりました。日本で過ごす時間が増えるにつれ、和のインスピレーションが強くなりライフスタイルも変わってきたので、そうした変化をブランドのファンにも知ってほしいと思いデザインしています」
2階の家具は古道具屋で集めた。
試着室のカーペットもオークラのような市松模様。
オークラ以外にもリサーチは行った。日本の地方を訪れ、和の建物を見て回ったという。

「日本建築の特徴は時間に伴う光の変化かもしれません。日本人は光によってできる影を見て喜ぶ人たち。このお店も光の変化を楽しめます。2階は夕方になるとファサードのルーバーの影がストライプになって映し出されるんですよ」

世界を魅了したオークラの美意識は失われていない。新たな場所に受け継がれ、息づいている。
入口の木床にエンボスでロゴを埋め込んだ。「日本の職人の技術には驚かされることばかり」。石の風合いのタイルは街で偶然出会ったもの。

〈メゾン キツネ代官山〉

入口には藍染めの暖簾を設置。レジなどをルーバーで隠し、一見、洋服屋とわからない店構えに。ファサードのルーバーは2枚板を使用。
東京都渋谷区猿楽町20-14
TEL 03 6427 8274。11時〜20時。不定休。

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