September 11, 2017 | Architecture, Design | a wall newspaper | photo_Kenya Abe (portrait), Keiko Nakajima editor_Jun Ishida ©LOUIS VUITTON MALLETIER/EBOY
ルイ・ヴィトンの『トラベルブック』東京版を作成した〈eBoy〉。彼らが発見した東京の魅力。
ルイ・ヴィトンがアーティストとともに作る『ルイ・ヴィトン トラベルブック』。その東京版が、ピクセルアート・グループ〈eBoy〉により作られた。
〈eBoy〉は、カイ・フェルメール、シュテフェン・ザウアータイグ、スヴェント・シュミタルの3名からなるグループだ。1997年にベルリンで結成され、現在カイはLAを、シュテフェンとスヴェントはベルリンを拠点とし、インターネット上で会話しながら作品制作を行っている。パリやロンドン、東京などの都市をテーマとした「Pixoramas」も発表しており、実際に都市を訪れて撮影した写真やインターネット上で見つけた画像をベースに制作している。
3人が東京に初めてやってきたのは13年前だ。その後も仕事などでしばしば訪れているが、今回の『トラベルブック 東京』の作成にあたっては、再び来日。ルイ・ヴィトンが用意したガイドとともに東京をバスや自転車で回ったという。
「2週間滞在し、毎日ガイドとともに回りました。皇居などの観光スポットと、逆にあまり知られていない場所の半々で、いいコンビネーションでした。ガイド付きは初めてですが、僕らが知っていた東京とは全く違う面が見られてよかったです」
特に興味深かったのは、寺院や歌舞伎座、下町などの日本の伝統文化を感じる場所だという。寺院では、参拝前に手水舎で手と口を清める行為に日本人の精神性を感じ、ヨーロッパの石の文化とは異なる日本の寺院の木の文化に感銘を受けた。「東京は、伝統的な部分とモダンでワイルドな部分のコントラストが美しい」と振り返る。
東京という街の特徴について聞くと、ストリートにあると思うという言葉が返ってきた。
「小さな道がたくさんあって、歩いていると方向がどんどん変わっていく。東京はグリッドシステムでできていないから、いつも道に迷うんです。そこが西欧の都市と違うところ。そしてビルの間には小道があって、そこには人が住んでいる気配もする。人間のサイズに合っている街だと思います」
トラベルブックには、多くの建物が出てくるが、建築物も東京ならではの特徴を示すものの一つだ。
「東京の建物は一つ一つが特徴的でモニュメンタル。日本人はあらゆるものに命を吹き込み、ビルも生き物みたいにキャラクターがあるように思えます。至る所に“顔”がある感じがするんです」
「街を歩くことは、とてもエンターテイニング」という〈eBoy〉。彼らのガイドブックとともに、東京の再発見に出かけてみよう。
eBoy
左から/カイ・フェルメール、シュテフェン・ザウアータイグ、スヴェント・シュミタル。1997年にドイツ・ベルリンで結成。ピクセルアートのパイオニアとして、コカ・コーラ、アディダス、ホンダともコラボレーションしている。