June 13, 2017 | Architecture, Design, Travel | a wall newspaper | text_Takahiro Tsuchida
奈良県の天理駅の駅前広場を、あの〈nendo〉がデザイン。座れて、遊べて、親しまれる形のヒントは古墳でした。
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以前は少々寂しい場所だったという天理駅の駅前広場が〈コフフン〉として一新された。デザインしたのは、お馴染みの佐藤オオキ率いる〈nendo〉。広場には大小の白い円錐形がランダムに配置され、不思議なランドスケープをつくっている。
「日常に広場があるヨーロッパと違い、日本人は実は広場が苦手だと思うんです。それより大通り裏の路地やベンチのほうが気軽に長居できる。そこで、建築よりも家具に近いものをつくろうと思いました」と佐藤。天理には多くの古墳があると知り、その形をモチーフに一連の施設をデザインした。
「民家の裏庭に、小さな丘のような古墳があったりする。そんなスケール感で、階段状の円錐形をいくつも置くことにしました」
この円錐は、ある場所では屋根に、ある場所ではベンチに、ある場所では通路に。円錐自体を遊具にしたものもある。
「遊んでいる子供を高齢者が眺めていたりする。いい意味でゆるい、親しみやすい感じになりました」と佐藤も満足げだ。
すりばちコフン&テーブルコフン
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ステージコフン
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直径15mのアリーナを階段が囲む、200人以上収容の野外ステージ。本格的な設備をそなえ、地元の文化発信の役割も担う。
インフォ&ラウンジコフン
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〈コフフン〉という名前は、「コフン」に鼻歌の「フフン〜♪」と笑い声の「フフンッ」をかけた。
「ゆるキャラが人気なのは、いじりやすいからですよね。これからの公共建築は、きっとそんな感じのほうがいい。名前も漢字が並ぶより、“何だよ、この名前(笑)”って言われるような」
すでに地元の若者は〈コフフン〉に立ち寄ることを「コフる」と呼んでいるのだとか。笑われながら親しまれるコンセプト、成果は上々のようだ。
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佐藤オオキ
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1977年カナダ生まれ。早稲田大学大学院修了後、2002年に〈nendo〉設立。ラジオ番組『LAUGH SKETCH』(J-WAVE)が毎週土曜21時から放送中。