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2025年秋『ひろしま国際建築祭』開催。日本を代表する建築家に迫る展覧会、丹下健三自邸復刻計画も進行中。

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December 8, 2024 | Architecture, Travel | casabrutus.com

全国でも類を見ない、本格的に建築をテーマとした3年に1度の芸術祭が2025年秋に広島県での開催される。第1回は日本人プリツカー賞受賞者や丹下健三自邸復刻にフォーカスを当てる。

シンボルマーク&ロゴタイプデザインを手がけたのは原研哉。

全国各地に定着してきた芸術祭が美術をメインとしているのに対して、建築をテーマとした建築祭はまだ少ない。国内で従来開催されてきた建築祭が、歴史的名建築の見学を軸とした内容であるのとは異なり、『ひろしま国際建築祭 2025』は現代の建築文化を広くプレゼンテーションする『ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』のような場になることを目指し、3年に一度の開催を予定している。

『ナイン・ヴィジョンズ:日本から世界へ 跳躍する9人の建築家』展は、安藤忠雄が新館を設計した〈尾道市立美術館〉で行われる。

プリツカー建築賞を受賞した、日本の建築家8組9名(丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、妹島和世・西沢立衛、伊東豊雄、坂茂、磯崎新、山本理顕)に焦点を当てた展示を、安藤忠雄が新館を設計した〈尾道市立美術館〉で開催。日本人建築家が世界で評価された理由に迫る。

2024年4月にオープンした、台湾の〈桃園市児童美術館〉。2024年3月にプリツカー賞を受賞した山本理顕が設計した。30度の角度を持つ丘にはいくつかの穴が空いていてテラスになっていて、そこから屋根の下へ入ることができるようになっている。 ©︎Riken Yamamoto & Field Shop
2013年にプリツカー賞を受賞した伊東豊雄が設計を担当した〈台中国家歌劇院〉。「美しい音の洞窟」がコンセプト。(c)伊東豊雄建築設計事務所
2014年にプリツカー賞を受賞した坂茂の設計による〈紙のカテドラル〉は、2011年の大地震で被害を受けたニュージーランド・クライストチャーチに建てられた。 Christchurch Cardboard Cathedral/photo by Stephen Goodenough

●「丹下健三自邸復刻プロジェクト」も進行中

〈神勝寺 禅と庭のミュージアム〉内にある無明院の外観。丹下健三が東京・成城に設計した自邸(1953年竣工。現存せず)を、丹下の長女である内田道子監修の下、再建するプロジェクトに関する展示が行われる予定だ。

さらに『ひろしま国際建築祭 2025』を主催する神原・ツネイシ文化財団が進行中の丹下健三自邸再建プロジェクトに関する展示を福山の〈神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)〉で行う。東京・成城に設計した自邸(1953年竣工、現存せず)の1/3模型や図面などの資料展示を予定している。

本展の総合ディレクターを務めるのは元『Casa BRUTUS』副編集長の白井良邦。チーフキュレーターは〈森美術館〉や〈京都市京セラ美術館〉で美術展・建築展の展示デザイン・企画を手掛けてきた前田尚武。2025年秋はおりしも『大阪・関西万博』や『瀬戸内国際芸術祭2025』秋会期、『岡山芸術交流2025』と会期が重なる。西日本のアートイベント回遊を中国地方へと促すきっかけにもなりそうだ。

伊東豊雄。瀬戸内海を一望する大三島には〈今治市伊東豊雄建築ミュージアム〉がある。(c)藤塚光政

この建築祭が開催されるのは、広島県東部の福山市と尾道市を中心とした地域。瀬戸内を文化的なバックボーンとして開催される。

なお、記者発表会のトークセッションに登壇した伊東豊雄からは次のようなコメントが寄せられた。

「私は学生時代に、瀬戸内から山陰にかけて一人で旅をしながら建築を見てまわりました。瀬戸内は戦後日本の現代建築が相次いで生まれたエリアで、メッカのような場所だと思います。そのエネルギーがいまだに続いていると感じます。そこで開催される建築祭には、大きな期待が持てます」

『ひろしま国際建築祭 2025』

2025年10月4日〜11月30日。広島・福山と尾道の各所で開催。広島〈おりづるタワー〉、岡山・新見〈domaine tetta〉ほかのアネックス会場も順次追加予定。共通パスポート2,000円〜(予価)。


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