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フィンランドデザイン界のご意見番が暮らす部屋|フィンランド【北欧各国、クリエイターの住まい】

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December 8, 2024 | Design | 北欧各国、クリエイターの住まい

北欧を拠点に活躍するクリエイターは、どんな部屋に暮らしているのか。インテリアデザイナーからブランドのファウンダー、ギャラリストまで、北欧各都市、今をときめくクリエイターたちの部屋を訪ね、ドキュメントしました。 今回は、ヘルシンキデザインウィークを主宰するカリ・コルクマンさん。フィンランドデザイン界のご意見番が暮らす部屋を見渡せば、「この国はほかのどの国とも異なるランゲージを持っている」、その言葉が静かな説得力を持って伝わってきます。

Area:ヘルシンキ
Size:220平米
Type:アパート

キッチン横のミニダイニング。白木の床に合わせてアルヴァ・アアルトの《81Aテーブル》の天板は白をチョイス。ペンダントライトは〈オルノ〉社製の貴重なヴィンテージ。

〈アルテック〉や〈ヨハンナ・グリクセン〉など数々のフィンランドのブランドを世界に発信してきたカリさん。今日のシーンはどう映っているのだろうか。

ジャスパー・モリソンと熊野亘が〈ニカリ〉から発表したラウンジチェア《ディセンバーチェア》とウリヨ・クッカプーロのソファ《レンミ》でコーディネートされたリビング。

「〈アルテック〉はスイスの〈ヴィトラ〉傘下になったことで、流通面が改善しました。近頃フィンランドでは〈ヴァールニー〉や〈メイド バイ チョイス〉などのブランドが生まれていますが、大手に買収される前の今が一番旬です。〈ヴァールニー〉が起用するのは国外のデザイナー。ファウンダーはバング&オルフセンやアップルで働いていた経験から、国際的な視点がある。それでもこの国らしいクリエイティブになっているのが素晴らしいですね。“北欧デザイン” と十把ひとからげに言いますが、フィンランドはデンマークほど大きな国ではない。素材を活かした実直なクラフツマンシップが、今もこの国のものづくりのベースです」

普遍で実直な、フィンランドのものづくり。

ガラス戸棚右端のガラスピースはオイバ・トイッカがカリさんの妻と娘をかたどった作品。
スタンドライトはイタリアの〈アルテミデ〉創業者による《アトン テラ》。壁際の白いサイドボードはスウェーデンのデザインユニットCKRがカリさんキュレーションの展示のためにデザインしたもの。
タイルが美しい暖炉は、この建物を手がけたエリエル・サーリネンによるもの。照明はアキッレ・カスティリオーニの《パレンテージ》。

グローバリゼーションにデジタル革命。国の境を感じる機会が減る中、それでもものづくりには地域差があるという。

「イタリアには家族経営のブランドが多い。しかし北欧は一部を除いてはそうではない。それゆえ幾分チャレンジしやすい。また、大きなフェア会場にパビリオンを作っては壊す、という『ミラノサローネ』のようなやり方は今の感覚からするとサステナブルではない。だからコンパクトな街で短期間、ショールームを会場とする『3daysofdesign』が人気なのかもしれません」

《ドムスチェア》で揃えた食卓。

フィンランドデザインへの愛を体現するように、自宅には希少なヴィンテージから〈ニカリ〉の新しいプロダクトまでが大きな主張をせずに収まっている。

「私の家はトレンディではないんです(笑)。デザイナーは革新的な創造を続けているウリヨ・クッカプーロが好きです。ヴィンテージが多いのは、ヒストリーのある普遍なものが好きなんだと思います」

リビング奥の小上がり。
リビングのソファは〈ヨハンナ・グリクセン〉の生地に張り替えた。フロアランプはイサム・ノグチ。
部屋のそこかしこにモビールが。

カリ・コルクマン

デザインプロデューサー。『ヘルシンキデザインウィーク』や『フィスカースヴィレッジアート&デザインビエンナーレ』を主宰。〈ニカリ〉や〈アルテック〉〈マリメッコ〉など、フィンランドのデザインブランドをクライアントに抱える。


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