May 29, 2017 | Fashion, Architecture | casabrutus.com | text_Keiko Kusano
ファッションブランド〈コス〉が、国内最大規模となる新店舗を東京・銀座のマロニエ通りにオープン。来日したクリエイティブ・ディレクター、カリン・グスタフソンに話を聞きました。
2007年にスタートした〈COS(コス)〉は、第1号店をロンドンにオープン。その後、ヨーロッパからアジア、中東、北米へと店舗を増やしてきた。日本国内3店舗目となる銀座店は2フロア558㎡の国内最大規模を誇り、ウィメンズ、メンズ、キッズ、すべてのラインを揃える。ファサード一面は波板で覆われたモダンな仕上がりで、エントランスには日本の「門」をイメージするアーチ型デザインを採用。それにならってショーウィンドーも道行く人の視線を集める印象的なデザインとなっている。 〈コス〉のウェアはシンプルでモダン。旬なスタイルでありながら、同時にタイムレスで機能的であることを目指してつくられており、誰にでも着やすく、手に入れやすい価格帯で展開している。店舗のデザインについても、ブランド独自の考え方が貫かれている。「店舗は、それぞれのお店に個性を持たせる一方で、最初から何かをつくりあげるのではなく、もともとある建物の歴史、周辺環境などを考慮した上で、自分たちの個性を加味していくことを考えています。今回の銀座店は、アルミの波板を外壁の上に施すことで、とてもユニークなアプローチとなったのではないかと思います。また、店内はお客様がご自身のワードローブの中を覗き込むような親近感とともに、白の要素を取り入れた清潔感、居心地の良さを感じていただけることを目指しました」 〈コス〉は、ミラノデザインウィークでもインスタレーション作品を発表し続けている。これまでにnendoやSnarkitecure、藤本壮介など、気鋭のアーティストや建築家とコラボレーションしてきたが、6回目となる今年は、日本人建築家の村上あずさとイギリス人アーティストのアレクサンダー・グローブスからなるStudio Swineとのコラボレーションによる、有機的かつ繊細なインスタレーションが好評を博した。 なぜミラノデザインウィークでの作品発表を続けているのだろうか。
「私たちはミラノデザインウィークを、世界中のクリエイティビティ、インスピレーションをシェアする場だと考えています。来場者はアートやデザインに関してアンテナをつねに張っている方々だと思うのですが、そういう方々に自分たちの存在感をアピールするだけでなく、ものづくりのコンセプトやどんなものからインスピレーションを受けているかを共有することに意義を感じています」
インスピレーションソースにはさまざまなものが挙げられるが、「『これはいいな』と感じたものが、結果的に日本のクリエイターが手掛けたものであることが多い」と、カリン・グスタフソンは感慨深げに語る。少し前の秋冬コレクションでは、石や鏡を使った日本の「もの派」アーティストの作品にアイディアを得た。また、イサム・ノグチの和紙を使用した照明など、自然と人工物を融合した作品にも感銘を受けてきたと話す。
「たまたまですが、日本のアーティストと感覚が合うということだと思います。今回初めての日本訪問ですが、東京は大きな都市で高層階からの夜景を見て圧倒されました。でも実際に地上に降りてみると、意外に落ち着いた街だとも感じます。こんなに大きな都市なのに、人々がフレンドリーなのもいいですね。また近々、ゆっくり時間を取って日本を訪れたいと思います」