Quantcast
Channel: カーサ ブルータス Casa BRUTUS |
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

今週末は神戸へ。『神戸モダン建築祭』で港町・神戸の近現代の名建築を一挙公開!

$
0
0

November 21, 2024 | Architecture, Design, Travel | casabrutus.com

11月22日からの3日間、神戸の近現代の名建築がまとめて一般公開される『神戸モダン建築祭』が開催される。2回目を迎える本イベントは、全てのプログラムを合わせて73もの建築を見ることができるチャンスです。

1977年竣工の複合施設〈ローズガーデン〉。神戸・北野に点在する安藤忠雄の設計による建築の中で、一番最初に建てられたものだ。会期中、全日公開。
普段は入ることができない〈ローズガーデン〉最上階のバーだった空間が特別に公開される。
「外に閉じて内に開く」安藤建築の特徴を実感できる中庭。

古くから中国大陸や朝鮮半島の港と交流してきた港町、神戸。1868年の開港後には国際貿易港として日本の発展とともに、多くの建築が建てられてきた。神戸は戦時中の神戸大空襲、そして1995年の阪神・淡路大震災など大きな被害を被ることもあったが、それらの被災を免れて生き残ってきた建築も多いのだ。

1909年にドイツ人実業家の邸宅として建てられた建物。戦後は〈中華民國留日神戸華僑總會〉として使われており、昨年の『神戸モダン建築祭』まで一般にはほとんど公開されてこなかった。※会期中、全日公開
〈中華民國留日神戸華僑總會〉のテラス。昔はここから港が一望できたという。
〈シュウエケ邸〉外観。1896年に建築家・アレクサンダー・ネルソン・ハンセルの自邸として建設されたもので、現在はシュウエケ家の自邸として使用されている。ゴシックを基調とするコロニアル様式が、いかにも港町・神戸という佇まいだ。※会期中、全日公開
〈シュウエケ邸〉内観。年代物のフランス製家具や大きなシャンデリア、暖炉などクラシカルなインテリアで統一されている一方、壁面には浮世絵コレクションなどが飾られている。
北野最古の異人館と言われる〈北野メディウム邸(旧スタデニック邸)〉。元々ロシア人貿易商であるスタデニックご夫妻の私邸であったと言われる。現在はコワーキングスペースやカフェとして活用されている。※11月24日のみ公開

神戸といえば、北野の異人館街は観光スポットとしても広く知られるが、その中でも去年の『神戸モダン建築祭 2023』から一般公開されるようになったのが〈中華民國留日神戸華僑總會〉だ。設計はおそらくイギリスの建築家、アレクサンダー・ネルソン・ハンセルではないかと推測されているが、裏付けする資料がなく不詳。これまで大規模な改修が行われてこなかったため、1909年竣工当時の面影が色濃く残っている。

同じ北野には安藤忠雄の初期の建築が複数存在する。『神戸モダン建築祭 2024』では1977年竣工の複合施設〈ローズガーデン〉を見学することができる。最上階のバーだった空間に入ることもできるので貴重な機会となるはずだ。

日本で最初に建てられたモスク〈神戸ムスリムモスク〉(1931年竣工)も公開に。設計はチェコ出身の建築家、ヤン・ヨセフ・スワガーによる「スワガー建築事務所」。頑強な構造で、阪神・淡路大震災でも被害を免れ、被災した人々を収容したという。※11月23日公開(ただし12時15分〜12時45分/15時15分〜15時45分/16時50分〜17時15分の礼拝時間中の見学は不可)
〈神戸松蔭女子学院大学〉は建築家・永田祐三の竹中工務店勤務時代の名作と言われるもの。銅版葺き切妻屋根とレンガ色のタイルで統一された建物は「中世のヨーロッパの丘に建つ街のイメージ」でつくられたそう。※11月24日公開
〈神戸松蔭女子学院大学〉中心部に建つ〈マグダレンチャペル〉も建築祭パスポートがあれば見学できる。聖書の物語をテーマとしたステンドグラスは、立花江津子によるもの。
長い一本道の坂を上った先にある〈兵庫県立神戸高校〉。1938年竣工の2代目校舎は、兵庫県営繕課による設計。中世ヨーロッパのロマネスク様式を模した建築だ。※11月23日、24日公開

開催にあたり実行委員長の松原永季は、師である建築家・藤森照信の「建築とは記憶の器である」という言葉を引用しながら、「神戸はいち早く港が開かれた開港都市で、明治以降の日本の近代的な歩みを建築として多く残しています。そうした建築をより良い形で次の代に引き継いでいくことができればと思っています。そして、来年震災30年を迎える中でどのように復興をしたのか、神戸の歴史を伝える建築が震災を乗り越えてこれだけ残っているということをお伝えできるイベントにしたい」と語った。

坂が多い神戸の街。歩きやすい靴を履いて、街の雰囲気も楽しみながら建築巡りを楽しんでみたい。

〈神戸税関〉中庭。2代目庁舎と新館・3代目庁舎の間には中庭が設けられ、シームレスに新旧が建つ。旧館は1927年竣工で、新館は1998年竣工。※11月23日、24日公開
〈神戸税関〉旧館エントランスホールを見上げたところ。
〈神戸税関〉の貴賓室も特別に公開される。
〈神戸商工貿易センタービル〉 1969年、〈霞が関ビルディング〉に次いで西日本で初めて竣工した高さ100mを越す高層ビル。設計・監理は日建設計、工事施工は鹿島建設。1995年、阪神・淡路大震災に見舞われたが、構造に損傷は見られなかったという。※11月23日、24日公開

『神戸モダン建築祭 2024』

2024年11月22日〜24日。神戸市内(北野・山手エリア、三宮・元町・港湾エリア、その他)。全プログラム合わせて「73」の建築が公開となる。プログラムは「パスポート公開」と「ガイドツアー」など多岐にわたる。パスポートは3日間有効で3,000円。事前予約が必要な「パスポート公開」の建築もあるので、詳しくは公式サイトにてご確認を。 ガイドツアーの詳細はこちら


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

Trending Articles