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20組以上の作家が参加した“オバケ”の展覧会。デザインの視点から見えたものとは?

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August 18, 2024 | Art, Culture | a wall newspaper

絵本、落語、アニメなど、ジャンルを超えた「オバケ」に会える展覧会が立川市の〈PLAY! MUSEUM〉で開催中。アートディレクションを務めた髙田唯さんに案内してもらいました。

アートディレクターの祖父江慎は、「もしもオバケが銭湯を開いたら」というユニークな発想から《オバケ湯》を展開。オバケが逆さ吊りになった暖簾をくぐった先は銭湯の脱衣所。オバケの影が大きく床に映し出されている様子もユニークだ。

毎年夏になると納涼を言い訳に、なぜか私たちは怪談話やホラー映画に興じてしまう。もはや日本の夏には欠かせない風物詩といっても過言ではない “オバケ” に注目したユニークな展覧会『「オバケ?」展』が、東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催中だ。

「怖いと思っているくせになぜか興味を示して近づき、実体がないものを可視化しようとする。“オバケ” はまさに人間の感性の豊かさの象徴とも言えるものなんです」

そう話すのは、本展のディレクションを担当したグラフィックデザイナーの高田唯。本企画のために2年間にわたり、オバケにまつわるこの不思議な感覚とは何かを真剣に考えてきた。

高田唯率いるAllright Graphicsは、身近な日常のなかに潜むオバケ的な存在を収集。微妙にデザインが異なるフェイスマスクは、こちらを見て薄ら笑いをしているようにも感じてしまう。

『「オバケ?」展』では、高田を含める計20組以上の参加作家がそれぞれ独自のアプローチでオバケの世界を表現。せなけいこの絵本『ねないこだれだ』を落語家の春風亭一之輔が名調子で読み聞かせするオバケ落語に始まり、1970年代フランス生まれのバーバパパが神出鬼没するなか、谷川俊太郎・賢作親子がコラボしたオバケ音楽「けいとのたま」が場内に流れる。さらに、絵本評論で知られる広松由希子が古今東西のオバケ絵本500冊をセレクトしたほか、日本美術史学者の安村敏信はオバケという言葉の誕生から妖怪ウォッチまで、日本のオバケ史を見事に論説。

また、祖父江慎がプロデュースしたオバケとともに入浴を楽しむ《オバケ湯》やオバケに変身する《オバケ工場》といった体験型展示も登場。来場者は、オバケを身近に感じ、深く考え、ときに自身がオバケに“化ける”など、多角的な体験を堪能することができる。

夜更かしをする子どもを連れ去るオバケを描いたせなけいこの『ねないこだれだ』は、会いたくないオバケの代表格。PLAY! MUSEUM「オバケ?」展 会場写真(photo_田附勝)

「定義できない曖昧な存在(=オバケ)と向き合っているうちに、全神経が敏感になり、イマジネーションも広がっていく。感覚とクリエイティビティをとことん刺激してくれるオバケの世界を楽しんでいただきたいです」(高田)

本展はPLAY! MUSEUMを皮切りに、全国複数会場を巡回予定。子どもも大人も関係なく、怖くて面白いオバケの魅力を探検する旅に出てみよう。

『「オバケ?」展 』

〈PLAY! MUSEUM〉東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F。〜2024年9⽉29日。10時〜18時。会期中無休。入場料大人1,800円。大学生1,200円。高校生1,000円。中学生600円。小学生以下無料。(c) Keiko Sena

高田唯

たかだゆい 1980年東京都生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。Allright取締役。ロゴ、広告、パッケージなど幅広い媒体でデザインを手がけながら、国内外での個展、グループ展を多数開催。東京造形大学で教授も務める。

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