April 12, 2016 | Architecture, Food, Travel | Window On The World | photo_Isamu Ito(lefthands) text_Shigekazu Ohno(lefthands)
大正15年に〈北海道庁立図書館〉として建てられたセセッション様式の建物を安藤忠雄が改修。人気の北海道スイーツ店〈北菓楼〉の旗艦店としてオープンした。
内部の吹き抜け空間に、宙に浮くように架け渡した2階のカフェ兼多目的空間。壁面には往時の姿を想起させるレンガ壁と、安藤忠雄の代名詞、コンクリートの補強部分が見える。
巨匠の手により、築90年の歴史的建築は店舗のほか、資料館、蔵書を備えたカフェ兼多目的空間、いわば札幌市民の“サロン”として生まれ変わったのだ。
市民に親しまれてきたセセッション様式の外観は元の姿のまま保存。
新たな建物は、表通りに面する外壁と階段室を補強・保存しながら、後ろ側部分を新たに新築。3層分の高さに吹き抜けた大空間を内包し、2階カフェ部分はクロスボールトの天井が、壮麗な雰囲気を醸す。「北海道の歴史が息づくこの街の一角から、地域の未来へと向かう健やかな力が育まれていくといい」とは安藤の言葉。見て、買って、食べられる貴重なANDO建築として訪ねてみてほしい。
歴史を感じさせる石造りの玄関ホールも当時の姿をとどめる。
〈北菓楼 札幌本館〉
北海道札幌市中央区北1条西5丁目1-2 TEL 0120 700 752(本社代表)。10時〜19時。無休(元日を除く)。公式サイト