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まるで古代遺跡? 渋谷の隠れた名建築が再活用されています。

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April 18, 2024 | Architecture | a wall newspaper

建築家・永田祐三設計による築39年のオフィスビルに、アップサイクル家具ブランド〈家’s〉のショップがオープン!

マヤ文明の遺跡ウシュマルに合わせ、斜線制限の限界まで外壁を傾けるなど、その徹底ぶりに驚く。

東京・渋谷駅近く、六本木通り沿いを歩くとまるで古代遺跡のような建築が突然顔を出す。ファサードには窓がほとんどなく、一面には大量のタイル、傾斜した外壁がなんともいえない存在感を放つ〈旧三基商事東京本部第1ビル〉。その場所の再活用が現在進められている。

ビルを設計したのは永田祐三。総工費400億円をかけて完成した和歌山県の〈ホテル川久〉などで知られる彼が、竹中工務店在籍時代の約40年前に手がけた。モチーフとしたのは、メキシコ・ユカタン州にあるマヤ文明の遺跡ウシュマル。アメリカへ留学していた際に現地まで観光に出向いた永田が「建築の原型」ともいえるその姿に感動し、遠く離れた渋谷の地に再現するに至った。

〈家’s〉のショップ〈P/OP SHIBUYA〉は701会議室を使用。「発掘」をテーマにあえて照度を落とした店内に、アクリル箪笥《P/OP(tansu×acrylic)》などが並ぶ。

オフィスビルとして建設されたこの場所だが、2年前にオーナーである三基商事が移転。それ以来、未活用のままであった。そこに手をあげたのが〈家’s〉。空き家に眠る箪笥を回収し、蛍光色のアクリル板でリメイクするなど、古家具に新たな価値を与え販売するアップサイクル家具ブランドだ。

「ショップを作るにあたって、その空間もブランドコンセプトとマッチする場所にしたいという思いがありました。このビルの元々ある魅力を引き出せるよう、手を加えるのは最低限にしています」と話すのは代表の伊藤昌徳さん。

今後は〈家’s〉以外にもビルの各フロアを使用し、ショップなどがオープン予定。渋谷の隠れた名建築にぜひとも足を運びたい。

外壁の傾斜がダイレクトに伝わる空間。
〈旧三基商事東京本部第1ビル〉 1985年竣工。ミキプルーンなどで知られる三基商事の東京支社として設計。2022年に同社は移転。全8階、バルコニーを備えた7階の一角が社長室。そこから突き出た煙突のような部分はエレベーター機械室となっている。 〈P/OP SHIBUYA〉 富山を拠点に活動する〈家’s〉による東京初となる店舗。東京都渋谷区渋谷3-9-7 旧三基商事東京本部第1ビル7F。不定休。完全予約制。来店予約はHPを参照。

永田祐三

ながたゆうぞう 1941年大阪府生まれ。永田建築研究所代表。建築家。竹中工務店などを経て、1985年に独立。代表作に村野藤吾賞受賞の〈ホテル川久〉など。

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