Quantcast
Channel: カーサ ブルータス Casa BRUTUS |
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

20世紀ファッション写真の先駆者、ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンの国内初となる大規模個展。

$
0
0

March 15, 2024 | Fashion, Art | casabrutus.com

20世紀のファッションフォトグラファーの先駆者、ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンを知っていますか? 日本で初めて彼の作品を大規模に展示する回顧展が、東京・銀座〈シャネル・ネクサス・ホール 〉で開催中です。

《Divers, Swimwear by Izod, 1930》男女が海を見つめるヒューンの最も象徴的な写真。撮影場所はなんとパリ・シャンゼリゼ通りの上にあるヴォーグスタジオの屋上。奥に見えるのは水平線ではなく塀である。©The George Hoyningen-Huene Estate Archives

さまざまな分野のクリエイティビティが花開いた1920年代、芸術とファッションの中心地であったパリには世界中から才能あふれる人々が集まった。写真家、ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンもその一人だ。

ロシア皇帝、ニコライ2世の侍従長の息子として生まれ、幼少期をサンクトペテルブルクとロンドンで過ごしたヒューンは、1920年にパリに移住。その後『ヴォーグ』誌で写真撮影用の背景やセットの制作に携わるようになり、数年後には『ヴォーグ パリ』誌のチーフフォトグラファーに抜擢された。

《Black & White Swimsuit by Patou, 1929》1920年代のスポーティなデザインが象徴する、解放的な女性を表現。©The George Hoyningen-Huene Estate Archives

ガブリエル・シャネルとの出会いもこの頃だ。彼がスタジオの照明を巧みに操り、ファッション誌のために丁寧に作り上げた写真は、シャネルのデザインの美しさやその輝きを余すところなく捉えていた。

《Gabrielle Chanel, 1939》黒のベルベットスーツでポーズを取るガブリエル・シャネル。フランソワ・クールエが描いたカトリーヌ・ド・メディチの肖像に似ている。©The George Hoyningen-Huene Estate Archives

サルバドール・ダリ、ジャン・コクトー、クリスチャン・ベラール、セルジュ・リファールなど、マドモアゼルを取り巻く多くの仲間たちとも親交を深めたヒューン。スタジオだけでなく野外でのファッション写真の撮影もいち早く取り入れ、建築家や画家たちからインスピレーションを得た彼の作品には、アールデコ、新古典主義、バロック様式のさまざまな要素が取り入れられた。そのドラマチックな表現は現代も色褪せることなく私たちを魅了する。

《Portrait of the Dali's in L'Instant Sublime, 1939》親交のあったサルバドール・ダリが1938年に描いた作品《L'instant Subline》に、ダリ本人と妻のガラの写真をコラージュ。『ハーパーズ・バザー』誌に掲載された。©CHANEL

日本で初めての大規模個展となる本展では、彼を代表するファッション写真に加え、シャネルとの交流を物語るポートレートや、彼が長年にわたり撮影した世界中の旅の写真など65作品が展示されている。20世紀のスタイルを象徴する美しい作品の数々が集まる貴重な機会だ。

チュニジアやスーダン、チャドなどで撮影された旅の写真。©CHANEL

『Master of Elegant Simplicity:ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展』

〈シャネル・ネクサス・ホール〉 東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F TEL 03 6386 3071。〜2024年3月31日。11時~19時(入場〜18時30分)。会期中無休。入場無料。

ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン

1900年ロシア、サンクトペテルブルク生まれ。10代の頃、ロシア革命の際にイギリスへと逃れ、1920年パリに移住。 1926年から『ヴォーグ』誌と『ヴァニティ・フェア』誌のチーフフォトグラファーとしてファッション写真、ポートレートを発表。1935年に渡米し、『ハーパーズ バザー』誌に移籍。1947年にはハリウッドに移り、アートセンタースクールにて教鞭をとる傍ら、映画業界でも活躍した。1968年逝去。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

Trending Articles