February 19, 2024 | Design | casabrutus.com
スヌーピーとピーナッツ・ギャングの日常生活、そうした「ピーナッツ」の世界観を充分に堪能できる〈スヌーピーミュージアム〉が、2024年2月にリニューアルオープンしました。
カリフォルニア州にある〈シュルツ美術館〉の世界で唯一の公式サテライト(分館)として誕生した〈スヌーピーミュージアム〉。期間限定で東京・六本木にオープンしていたが2018年9月に一度閉館し、2019年に南町田のグランベリーパーク内にリニューアルオープン。場所を移して初めてとなるリニューアルだ。
今回の目玉は4つ。一つめはエントランスだ。あんぐりを大きく口を開けている、なんともユーモラスな「スヌーピー・エントランス」が私たちを出迎える。観客はスヌーピーの体に入っていくという体験を通して、ピーナッツギャングの世界へと入り込むスイッチが入れられるだろう。
建物に入り、チケットを購入するエントランスホールを見上げたところに二つ目の目玉となる「ウェルカム・スヌーピー」が設置された。空にいくつも浮かび上がる雲のような曲線で切られたミラーには、スヌーピーはもちろんチャーリー・ブラウンやルーシー、ペパーミント パティといった個性豊かなピーナッツギャングたちが勢ぞろい。スヌーピーの体の中に入り込んだ観客たちは、彼らのイラストと一緒に鏡に写り込み、ギャングの一員となった気分を味わうことができる。
いよいよ展示室へ! 最初に観客を待ち受けているのは、空間から溢れんばかりのスヌーピーのぬいぐるみたち。ここが三つ目の目玉である「スヌーピー・ワンダールーム」だ。ミュージアム内の展示では、以前より古くからのキャラクターグッズが展示されており、一つひとつを懐かしむ人の姿が見受けられた。リニューアルに際し「みんなでつくる、みんなのミュージアム」というコンセプトを掲げてファンからの寄贈を募り、ぬいぐるみ、フィギュア、ステイショナリーと幅広いジャンルにわたり約1,000点以上にもなる思い出の品々がこの部屋に集まったという。
ワンダールームの名称は、博物館の起源ともなる「ヴンダーカマー(驚異の部屋)」からきている。これは、15世紀から18世紀にかけて王侯貴族や学者の間で流行した世界中から珍品(動植物の標本や鉱物、界、陶磁器等)を集めて展示していた博物展示室のこと。「スヌーピー・ワンダールーム」では、「かわいい!」「懐かしい!」「こんなものもあったのか!」と驚き、ワクワクした気持ちで展示に向かって欲しいという意味が込められている。
四つめの目玉となるのは、「スヌーピー・ルーム」だ。ライナスの毛布で気持ちよさそうに眠る約8mの巨大スヌーピーや、ものまねをしたりスケートをする何体もの大きなスヌーピーの像がある人気の部屋。この部屋では、映像と光と音楽によるショーが展開される。大きな空間をスヌーピーが縦横無尽に駆け巡り、得意のダンスをする約2分間で、さらに期待感は高まるだろう。
また、来場者には特典として「スペシャルコミックチケット」を配布。1950年から50年間、ほぼ休まずに毎日描き続けたコミックストリップは17000点を超える。その中から、入場した日の作品を使ったチケットが1日4種類ランダムに配布される。
リニューアル後初となる企画展は『旅するピーナッツ。』(2024年9月1日まで)だ。企画展は、〈シュルツ美術館〉が所蔵する貴重な原画約45点を中心に構成されたもので、鉛筆のかすれ具合や、塗り跡といったシュルツ氏の肉筆原稿を堪能できる。ピーナッツでは、スヌーピーとピーナッツギャングの日常が描かれているが、「旅」もひとつのキーワードとなる。
スヌーピーおなじみのサマーキャンプだったり、ペパーミント パティがパリに行きエッフェル塔を見たり、テニスが好きなスヌーピーがウィンブルドンへ行ったり。また、アメリカの新聞で初めて黒人のキャラクターが紙面に登場した歴史的なコミックも展示されている。シュルツ氏が描いたのは、チャーリー・ブラウンがフランクリンとビーチで出会う、なんてことのない一場面だ。とても自然な形でフランクリンは登場し、その後定番のキャラクターとなっていく。旅という非日常のシーンでも、やっぱり描かれているのは何気ない日常なのだ。
1階のミュージアムショップ「ブラウンズストア」でも、リニューアルしたグッズたちに出合える。ここでしか買えないミュージアムグッズやかわいいお菓子など165点が新発売となる。
ミュージアムに併設するカフェ〈PEANUTS Cafe SNOOPY MUSEUM TOKYO〉のメニューもミュージアムと合わせてリニューアル。スヌーピーのイラストを大胆にあしらったデザートメニューや、シュルツ氏が好物だったツナサンドをイメージしたサンドイッチ、そして企画展に合わせたオリジナルメニューやカフェ限定のグッズを用意。ミュージアムで展示を楽しんだ後も、ピーナッツの世界に浸ることができる。
ミュージアムの隅々には、スヌーピー好きたちが喜ぶ仕掛けがたくさん! 何度も見て、探して、一日中楽しめる場所である。