February 8, 2024 | Culture, Architecture | casabrutus.com
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。1971年に竣工し、2023年秋にアートギャラリー〈THE MIRROR〉がオープンした西早稲田〈松川ボックス〉をはじめ、住宅建築を数多く手掛けた建築家・宮脇檀。その著書には住居について目を開かされる言葉がたっぷり詰まっている。
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住まいの形ではなく、住まい方が第一、生活をどう営むかが第一で、住居はそれをフォローする役目しか持たない
1964年に宮脇檀建築研究室を設立し、戸建て住居はもちろん郊外住宅地のまちなみづくりにも携わった住宅設計の名手・宮脇檀。およそ20年の間に携わった住宅地は約60、戸数にして2万戸を超える。まちなみ設計においては、造成、施設、外構、宅地内、建物、そして管理の「5つのハードと1つのソフト」という手法を提唱、実践。一方で、住居についてごくシンプルな言葉も残している。
「住まいの形ではなく、住まい方が第一、生活をどう営むかが第一で、住居はそれをフォローする役目しか持たない」。家は見栄えではなく、そこでの暮らしぶりこそが最優先されるべきだ、という。建築家としては控えめなようにも思えるが、その根底には昭和初期に今和次郎が生み出した「住居学」の考え方が流れている。住まいを物体としてではなく、その内側にある生活に注目して探求する学問だ。だから「生活を考えることからしか住居への発想は生まれてこない」とも綴る。
この「住居学」をベースにした小文の数々は家について考えるためのヒントを授けてくれる。「住み方の姿勢について」「都市に住むこと」といった本質的なトピックから、「リビングルームは必要か」「なぜ南向きの部屋?」と常識を揺さぶられるような提言も。最も身近な建築物はかくも奥深いと気づかせてくれる。
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