December 11, 2023 | Design | casabrutus.com
12月2週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。シックな真鍮の器に熟した老爺柿(ロウヤガキ)を活けました。枝を長く残したのは、自然が生み出すシルエットを活かしつつ、冬らしい淋しげな風情を際立てるため。実のある部分と、ない部分にメリハリをつけ「侘び寂び」を感じさせる一輪挿しのポイントを教わりました。
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熟した柿に季節を感じます。秋から冬にかけて枝から葉が落ちると、橙に朱が混じった老爺柿(ロウヤガキ)の実がくっきりと見えてきます。いわゆる食用として見かけるものよりもかなり小ぶりな品種です。枝のシルエットにも見応えがあり「間」が感じられます。実家に柿畑があったからなのか、枯れた木や、実の色の印象が季節感と結びついているのかもしれません。
今回の器は、金属の質感や色に重厚感があります。それに負けないよう花材のインパクトは保っておきたかった。細い枝の先端までを残して、長めに活けています。実が密集しているところから、まばらになり、さらに、実が付いていない枝までを見せる。そうすることで、どこか淋しげな冬の哀愁がいっそう感じられると思いました。
季節のものには、やはりパワーがあります。旬なものからシンプルに自分が好きだと感じるものを選べばいいと思いますが、あくまでも「さりげなく」というのが好きですね。出しゃばってはいないけれど、存在感がある。「侘び寂び」ということでしょうか。慎ましくありながら力強いものに惹かれます。
●今週の花:老爺柿
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●今週の器:〈フレデリシア〉の《ハイドロ ブラス ベース》
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