November 9, 2023 | Architecture | a wall newspaper
サポーズデザインオフィスの広島事務所が移転し、オフィス機能だけでなく食事エリアやギャラリー/イベントスペース、さらにはサウナも内包する複合施設〈猫屋町ビルヂング〉が誕生。主宰の谷尻誠、吉田愛の2人が、街に開かれた新拠点を案内します。
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東京と広島の二拠点で活動するサポーズデザインオフィス(以下、サポーズ)が広島オフィスを移転した。築50年、5階建てのビルをリノベーション。なんと自分達の働く場としてだけでなく、外の人も気軽に立ち寄れる飲食店やサウナ、イベントスペースも内包した複合施設にしてしまったという。
「新しくオフィスを作るにあたって、閉じた空間ではなく、もっといろんな人たちと関われる場を作りたいと思って。“ここにきたら面白い人がいる”、“いい展示が見られて、おいしいものも食べられる”。そういう空間を目指しました」(吉田)
・1F 飲食エリア
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1Fは食のフロア。東京オフィスでも営む〈社食堂〉、東京・虎ノ門にあるとんかつの店〈つかんと〉、広島で人気のワインバー〈アンダー〉が手がけるスパイス料理と炭焼き料理の店〈シビレ〉、さらに、吉田がプロデュースするアイスクリームショップ〈yacone〉が並ぶ。
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「〈虎ノ門横丁〉の設計を手がけた時、名店がワンフロアに集まった場の魅力を実感しました。これまでよりも規模が大きくなった広島オフィスでは食の空間を充実させ、もっとたくさんの人が訪れ、交われる場所にしたいと思いました。それで、〈社食堂〉だけじゃなく、お付き合いのある東京や広島の飲食店にお声をかけて、一緒にこの場所を作り上げることにしたんです。ここも一つの空間でいろんな味をハシゴできたら楽しいだろうなと」(吉田)
・2F ギャラリー/イベントスペース
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2Fはイベント&ギャラリースペース。使い方は自由で、アートの展示だけでなく音楽ライブ、食のポップアップなどさまざまなイベントをしていく予定で、これまで旧広島オフィスで谷尻がさまざまなゲストを迎えて行ってきたトークイベント『THINK』もこの場所に引き継がれる。また、展示やイベントをしていない時はイートインスペースにもなるよう、備え付けのベンチを作っているのもポイントだ。
「この場所では、用途を決めないことを決めました。状況に応じて空間の見え方が変わる場所を意識しています」(谷尻)
・3F オフィス
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3Fはサポーズのオフィス空間で、今後はコワーキングスペースとしても活用する予定。
「とにかくオフィスには本がたくさんあったので、まずは本壁を作るところから着想し、その本棚の中にドアやその他の収納スペースを内包するイメージでデザインしました」(吉田)
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室内では巨大なシンボルツリーが目を引く。
「私たちはこれまでずっと、室内にいても外を感じられるような空間を作り続けてきました。自分たちのオフィスでもその要素を取り入れたかった。ただ木を置くのではなく、デスクと本棚の役割も集約させています。チェアは広島へのリスペクトを込めて〈マルニ木工〉の《ヒロシマ》を採用しています」(吉田)
・5F サウナ
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5Fにはサウナプロデュース軍団〈TTNE〉とともに作ったサウナスペース〈Hiki stargazing sauna〉が広がる。
「サウナに入りながら、外の景観を楽しめたらと思い、ガラス窓の奥に坪庭を用意しました。ここは外と繋がっているので、雨や風の影響を受け木々が揺れる様子を眺められ、自然光も取り込みます。ビルの中にいながら外の気配を感じられるようにしました」(谷尻)
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座るスペースをゆったりと余裕が持たせている点もポイントだ。
「人と肌が触れ合いそうな距離感はちょっと落ち着かないので。サウナの中でストレッチできるぐらいの広さを確保しています。外気浴スペースも一部天井を開けました。寝そべりながら青空が眺められて最高に気持ちがいいんです」(谷尻)
・RF 屋上
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屋上にはルーフトップガーデンが。風を感じつつ食事をしたり、今後はサウナ後の休憩スポットとしても活用する予定だ。
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「僕たちはずっと“楽しい”を提案できる会社でありたいと思って走り続けてきました。新しいオフィスでは自分たちが楽しむことを一番に考えて、食、アート、音楽、サウナなどの要素を盛り込んでいます。ここがハブとなって、人と出会い、おもしろいことが生み出せる場所に育てていきたいです」(谷尻)
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