October 9, 2023 | Design | casabrutus.com
10月2週目の担当は、ショップを持たないアトリエスタイルの花屋〈フィオーレ・ソフィッタ〉で活動する三嶋春菜さん。切り花は、姿形が揃って、均質な状態が良しとされることが多いものの、花びらのわずかな個体差や、アンバランスな茎の動きも見どころのひとつ。奔放に伸びたジニアには自然の勢いが感じられます。幾何学的なモチーフで作られた器と、植物が生み出す伸びやかな姿のコントラストを楽しんでみませんか。
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ついこの間、花の生産者さんの畑を見せてもらう機会がありました。そのとき、いろいろな方向に茎をうねらせ、自由に伸びるジニアの姿にパワーをもらったんです。一つ一つをよく見てみると、花びらの枚数やフォルムに違いがあって、個性があるのも格好いい。ジニアは、ダリアや菊、ガーベラのような華やかさはないけれど、なんともいえないワイルドな魅力がある。土から生えてきた様子が想像できる、というか。茎の動きも「可愛いね」とだけでは済まされない唐突な感じがあって、不思議なテンションです。
10月は、9月の残暑を抜けて、過ごしやすい気候です。からっとして、爽やかで、日中はロンT1枚で過ごせるような、そんな気持ちよさがある。秋というと、こっくり、ゆったり、深い色味を思い浮かべがちだけれど、実はアクティブな季節に、自由奔放なジニアが寄り添ってくれるように思ったんです。
今回の器は、花瓶ではなくて水を直接入れると漏れてしまうもの。でも、ショットグラスだったり、小さなビーカーと組み合わせれば花器になります。この器は、丸や四角とシンプルな形で作られています。「構造体」と呼びたくなるようなかちっとしたムードの器にジニアを入れると、かえって、茎の動きやコントロールしきれない自然の造形が際立つと思いました。おもちゃっぽさもありながら、器の素材は木なので、木目の優しやどっしりとした雰囲気がある。ということは、今回のアレンジは、一見すると可愛らしいけれど、実は野生的な強さを隠し持っているもの同士の組み合わせなのか(笑)。緑と白というミニマルな色数に抑えたことも、ポップになり過ぎず馴染んだ理由だと思います。
●今週の花:ジニア
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●今週の器:〈ダイ ウカワ〉の《ボウボウ》
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