October 2, 2023 | Design | casabrutus.com
10月1週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。日本の秋らしさを体現する栗。小ぶりな実を縦にいくつも並べる三度栗は、切花としての存在感も抜群です。複数の器に花を活けると「飾りつけた」感じが強くなってしまうことがあります。しかし、芳賀さんに教わるテクニックを心がけると、日常に馴染む佇まいに整います。そのさりげない工夫とは。
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日本の秋を率直に表現できると思ったのが栗です。季節感を伝えられるので、茶花に使われることも多いですね。「栗拾い」という言葉があるくらいで古くから日本人の生活と馴染みは深い。活けたものは、一般的に見るような栗よりも小さい三度栗と呼ばれるものです。時間が経って、水が下がると茶色くなります。球としての可愛らしさと、針の鋭い印象が同居しています。
器は、サイズが違うものを3つ。小さなものには何も活けていません。それくらいが、飾り過ぎていない「抜け」が生まれていい。そして、方向は互い違い。葉っぱが綺麗についてピシッと水が上がり状態がよかったのですが、両方に残すとややうっとうしい。手前は葉を残し、奥は落としています。葉の有無によって、実に届く栄養のバランスが変わるので、それぞれ、色の変化にも差が出るだろうと思います。
こうして、複数の器に1種類のものを部屋に活けるときは、いかにも「飾りました」とならない様子にするのが好みです。植物の向き、器から出る茎の長さ、葉の有無など、さりげなく差を出すと、今回ならば器の高低差ともあいまって上手に飾れて、日常に馴染むのだと思います。
●今週の花:三度栗
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●今週の器:〈TAK. Studio〉の《ウッドペッカー ツリー》
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