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倉俣史朗の小宇宙へ。11月、久しぶりの個展が〈世田谷美術館〉にて開催。

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October 1, 2023 | Design | casabrutus.com

40年以上前に発表された照明“オバQ” 《K-Series》や〈カッペリーニ〉とコラボした椅子が復刻・販売されたり、内装を手がけた寿司店が香港の〈M+〉(エムプラス)に移築されたり。没後32年が過ぎてなお、国内外での評価が高いデザイナー、倉俣史郎。早逝した彼の作品の数々を振り返る個展が、東京では20数年ぶりに行われる。

倉俣史朗 ショップ「スパイラル」 1990年 撮影:淺川敏 © Kuramata Design Office

11月18日から〈世田谷美術館〉で開催される『倉俣史郎のデザイン−記憶の中の小宇宙』は、倉俣史郎の個性あふれる創作とその源を読み解くいい機会となるだろう。

本展は、「倉俣史郎自身」を軸とし、その軸に紐づけながら初期から晩年までの作品を展示する。プロローグとしては独立前の、株式会社三愛宣伝課時代の仕事を紹介。その後の作品は、年代を4パートに区切って、倉俣の仕事をテーマごとに見せていき、途中に「倉俣史郎の私空間」として愛蔵の書籍やレコードを展示。イメージスケッチや夢日記、彼の言葉を紹介するエピローグで倉俣のデザインのその先を検証する構成となっている。

倉俣史朗《ミス・ブランチ》1988年 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 © Kuramata Design Office 造花の薔薇を閉じ込めたアクリルで作った名作椅子。『欲望という名の電車』のヒロイン、ブランチ・デュボアから命名された椅子は、世界に56脚しか存在しないため、価格が高騰し続けている。

造花を閉じ込めたアクリルを使った椅子「ミス・ブランチ」に代表される浮遊する感覚のデザインや、70年代に発表した変形の収納家具シリーズ、そしてエキスバンドメタルやアルミを使った家具など。従来用いられることのなかった工業用素材を独自の詩情と日本的な美意識で唯一無二の作品に仕上げた倉俣。先駆性のある、時代を超越した独創的はどのように生まれたのか? そして何を考えながらデザインをしていたのか? 本展で紹介される、実現しなかったアイデアのスケッチや夢日記から彼の創作の源を読み取ることもできるはず。また多数紹介される倉俣自身の言葉からは、伝説やレジェンドというヴェールを取り払った、デザイナーの素顔と実像が見えてくるに違いない。

倉俣史朗 イメージスケッチ「猫とHow High the Moon」 1980年代 クラマタデザイン事務所蔵 © Kuramata Design Office

倉俣史朗のデザイン ――記憶のなかの小宇宙

〈世田谷美術館〉1階展示室 2023年11月18日~2024年1月28日。10時~18時(入場は17時30分まで)。月曜、12月29日~2024年1月3日休(ただし1月8日は開館、翌1月9日は休館)。

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