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神田錦町に新名所が出現。その中心はサウナでした。

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June 11, 2021 | Design, Architecture, Culture | a wall newspaper

築56年のビルを改修した〈神田ポートビル〉が開業。街の新たな寄合所として、人々を “ととのえて” います。

地下1階では、男女それぞれに3タイプのサウナを設置。男女は毎週水曜日のみ入れ替わる。利用は完全予約制(90分)。

北は神保町と小川町、南は大手町に挟まれた神田錦町。大規模開発の手からするりと抜け落ちた、古きよき昭和の風情を今に残す小さな町に、町内外の人々が集まる、令和版の寄合所のような場所が誕生した。

築56年になる印刷会社の旧社屋をリノベーションした複合施設の名は〈神田ポートビル〉。都市で暮らす人たちが集まり、羽を休めることのできる “港(ポート)” となるよう、コピーライターの糸井重里が名づけた。

菊地敦己の作品前でパチリ。左から〈神田ポートビル〉のプロデューサーを務める〈ゆかい〉の小林知典、藤本、池田。

不思議なのは、地下1階・地上6階の建物に入る施設の顔ぶれだろう。サウナに写真館に学校に印刷会社。しかも、中核はサウナだと言うから……。その理由について、今回のリノベプロジェクトの企画を担当した建築家の藤本信行は次のように話す。

「サウナには、都市に居ながらにして、自然とつながれる心地よさがあると思っています。ストレスから解放され、自分の中にある野生的な感覚を取り戻していくような……。その魅力を、街づくりの原動力にして、コミュニティの形成に役立てたいと思ったんです」

木の香漂う空間で、ととのうこと間違いなし。

施設全体のクリエイティブディレクターに就いたのは、写真家の池田晶紀。何代も続く老舗の主人のポートレートを集めた写真集『いなせな東京』を出したり、リヤカーに乗った移動式サウナを路上で展開したりと、神田とは浅からぬ縁があることに加えて、何より生粋のサウナーでもある。

「なんと言っても、初めて藤本さんに会ったのもサウナの中ですから(笑)。そもそも写真家は、人やモノ、コトに向き合うのが仕事。その出会いの場所をここに作って、街に開いていこうというのが今回の試みなんです」

〈?室〉と名づけられた部屋の正体は茶室。

大地に根を張るように、元倉庫だった地下空間に作られたのは、サウナ界のゴッドファーザーと呼ばれる米田行孝が手がける〈サウナラボ神田〉。そこから枝葉を延ばすように、1階には池田が代表を務める〈ゆかい〉のオフィスと、カフェ、ショップ、ギャラリーからなるパブリックスペース〈神田ポート〉、2〜3階には〈ほぼ日の學校〉の教室スタジオ、4〜6階にはビルの所有者だった印刷会社〈精興社〉が入る。

「今後は、各テナントを横断した企画も積極的に行っていく予定です。目指すのは“完成”ではなく“変化”。どんどん形を変えていけると面白い。ここが神田錦町の案内所みたいな存在になれるといいなぁと思っています」

〈神田ポートビル〉

ロゴデザインは菊地敦己。グラフィックデザイナーの大日本タイポ組合やテキスタイルデザイナーの氷室友里らがコミッションワークに参加している。東京都千代田区神田錦町3-9。

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