March 27, 2021 | Architecture, Art | casabrutus.com
建築家・磯崎新の初期の住宅、〈新宿ホワイトハウス〉が新たなアートスペース〈WHITEHOUSE〉に生まれ変わります。オープン直前の様子をお知らせします!
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〈新宿ホワイトハウス〉は磯崎新の設計で1957年に完成した、画家・吉村益信のアトリエ兼住宅だった建物だ。1960年からは吉村と篠原有司男、赤瀬川原平らが結成したネオ・ダダイズム・オルガナイザーズの拠点となり、展覧会などが開かれていた。建物はその後、画家の宮田晨哉に譲られ、一時〈カフェアリエ〉というカフェとして使われたあと、2年ほど前からChim↑Pomのアトリエとなっていた。このスペースが2021年4月から会員限定のアートスペースとして生まれ変わる。
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「Chim↑Pomが高円寺にある〈キタコレビル〉でアーティストランスペース(アーティストが運営するスペース)をやっていた頃は、他にそういった活動をしている場所があまりなかった。最近はオルタナティブ・スペースと呼ばれるものも含めてアーティストによる場が増えてきたけれど、ここはネオ・ダダの拠点という歴史を持つ家。若い世代とネオ・ダダの歴史をつなぐ中間的な場所として他とは違うことができるのでは、と思ったんです」とChim↑Pomの卯城竜太は言う。
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〈新宿ホワイトハウス〉は木造2階建て、3分の2ほどのスペースは1〜2階吹き抜けになっていて、主にここがアトリエやカフェとして使われていた。1階には他にキッチンやバスルームがあり、2階にはベッドが置かれて、今は卯城の生活の場となっている。2階のベッドルームの奥には納戸のような小部屋があり、壁や天井一面に絵の具が盛り上がった抽象的な壁画が描かれている。この壁画は特に発表されたものではなく、いわば”落書き”だったようだ。
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4月からは吹き抜けの空間をギャラリーにして展示や音楽やパフォーマンスなどのイベントを行う。卯城とアーティストの涌井智仁、ナオ ナカムラの中村奈央が運営にあたり、歌舞伎町をベースに飲食業を展開するSmappa!Groupがサポートする。また家の前のブロック塀を耐震強化し、ブロック塀と家の間にカウンターなどを設置してカフェ・バーにする予定だ。カフェ・バーが設置されるファサード部分には庇を新設するなどいくつかの要素が立体的に散りばめられる。室内も外部も建物の雰囲気を残すためオリジナルを尊重し、原状復帰が可能な最小限の改修でとどめた。改修は建築家コレクティブGROUP(井上岳、大村高広、齋藤直紀、棗田久美子、赤塚健)が手がけている。
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屋外のカフェ・バーは一般の利用も可能だが、ギャラリーや2階の”落書き”など建物内部はパスポート会員限定のクローズドなスペースとなる。カフェ・バーで出されるビールなどは涌井がセレクト、音楽やパフォーマンスなどアートに限定せずライフスタイル全般からクリエイティブなアイデアや総合芸術が生まれることを期待している。
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ギャラリーの公開を会員限定とするなど、閉じられた場とするのは「アートが無限に開かれた時代にあって、一般と観客の違いは何かを少数の人との関係で問い直したい」という思いからだという。「観客のみなさんとは1年間かけて一時的ではない関係を作れるか試みます。それによって鑑賞の態度も変わってくると思う」(卯城)
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パスポートは1年有効、300部限定。4月10日からはuraunyが個展を開く。個展といっても展示ではなく、予約制で食事をする「urauny dinner」という観客参加型のイベントだ。名建築を舞台に、現代美術の鋭いエッジを体験できる。
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