March 23, 2021 | Travel, Architecture, Design, Food | casabrutus.com
熱海湾を見晴らす高台に位置しており、また豊かな緑に囲まれていることから「熱海の奥座敷」と称される熱海市小嵐町に、新たな宿が誕生。“素”であることの贅沢を感じられる空間になっている。
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昭和の香りが残る土産物街や、多くの温泉宿のあるエリアを抜け、さらに少しだけ先へ。熱海駅から車で10分、観光がてら歩いたとしても気持ちよく辿れる距離の熱海市小嵐町に、〈SOKI ATAMI〉はオープンした。都心で慌ただしく働く日々から少し距離を取って、静寂のなかで心身を整えたい──熱海の“ちょっと奥”に位置するこの宿は、まさにそうした期待に応えてくれる。
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地域に根ざした食材をふんだんに使った朝夕の食事はもちろん、農作物やハーブを育てる「里庭」や、和漢植物を使用したブレンドティーやアルコールメニューを味わえる「茶寮」を備えるなど、宿には心身を整えるためのさまざまな養生コンテンツが揃っている。
客室のデザインは、〈アーティゾン美術館〉を手がけたことでも話題になったトネリコが担当。宿名の“SOKI=素の器”からイメージするとおり、木や和紙といった素材が、過剰な装飾が加わることなく自然と調和している。日常と地続きにある肩肘張らないトーンでありながらも、日々の些事を忘れて、自らの心と体に静かに注意を向けられる。“素”であることの贅沢を感じられる空間だ。
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この宿に泊まるならば、最上階にある「茶寮」にはぜひ訪れてみてほしい。漢方家の杉本格朗が監修した「季節の養生茶」や、熱海の特産である橙を用いた果実酒なども用意。季節ごとに異なる地元の銘菓を、つまみに味わえるのも嬉しい。柑橘やハーブの効いたドリンクを飲んで、風呂上がりのやや火照ったからだを落ち着けながら窓外に広がる熱海の景色を眺めるとき、都心からほんのすこし離れただけで、思いもよらぬほどの上質な静けさが手に入るのだと驚くはずだ。遠方を目がけるような旅心地ともまた異なる、“ちょっと奥”ならではの安らぎがこの宿にある。
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