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思い出の地・高知で知る、隈研吾の公共建築の過去と今、そして未来。

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November 21, 2020 | Architecture | casabrutus.com

自身にとって特別な地である高知県で、隈研吾の大規模な展覧会が開催中。彼の建築物の中でも特に公共性の高い30の作品を独自の視点から展示するほか、アーティストが隈建築を撮影した映像作品の上映、そして新たなプロジェクトの発表まで、公共としての彼の建築の魅力を発見する充実の内容です。

隈建築が多数建てられている、高知県梼原町の〈雲の上図書館〉(2018年)。©Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office

『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』は、現代日本の建築界を代表するひとりである隈研吾の大規模な回顧展。自身の建築の方向性を見出したと語る思い出の地、高知県の〈高知県立美術館〉からスタートした。高知県梼原町の〈雲の上図書館〉やオーストラリアの〈The Exchange〉など、彼の建築の中でも特に公共性の高い30作品を、隈自身の解説つきで展示。この“公共性”とは公共建築のみを指すものではなく居酒屋のような小規模の建築も含み、その規模や知名度に関わらず、「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」という隈の提唱する5つの原則によって分類され、模型やモックアップ、写真を用いて展開していく。

〈V&Aダンディー〉(英国、2018年)©Hufton+Crow

また建築を作品として見るだけでなく、実際にその建築がどのように存在し使われているのかを体験できるよう、アーティストが建築を映像に収めた作品を展示。瀧本幹也は檮原町にある6つの隈建築をハイスピードカメラで撮影し、4Kによる映像インスタレーションを制作。坂本龍一による音楽と共に、周りの自然環境と共生する建築を体感する内容になっている。アイルランドのマクローリン兄弟は、ヴィクトリア&アルバート美術館分館の〈V&Aダンディー〉を前衛的なタイムラプス映像で捉えた。また、360度VRで撮影した作品や、施設の利用者へのインタビュー映像など、それぞれの建築ごとにタイプの異なる映像作品が上映され、周囲の環境や人々と共にあるリアルな隈建築を発見できる。

〈アオーレ長岡〉(2012年)© by FUJITSUKA Mitsumasa

また本展では、隈が取り組む新プロジェクト『東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則』のお披露目も。丹下健三が1964年の東京オリンピック前に発表した都市計画『東京計画1960』への2020年からの応答であるこのプロジェクトは、東京の街をネコのように下からの視点で俯瞰したリサーチだ。Takramと協働で行ったフィールドワークやGPS測定の結果を、3DCGやプロジェクションマッピングを用いながら発表する。

その他、新国立競技場のスタディ模型約40点の世界初公開や、関係者以外は立ち入ることのできないエリアに設置された隈のデザインによる照明の展示なども行われる。

隈研吾 Photo © J.C. Carbonne

『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』

〈高知県立美術館〉高知県高知市高須353-2 TEL 088 866 8000。〜2021年1月3日。9時~17時(入場は16時30分まで)。無休(12月27日〜1月1日休)。1,300円。

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