October 18, 2020 | Travel, Architecture, Art, Culture, Design, Food | casabrutus.com
2020年7月、奥日光に誕生した〈ザ・リッツカールトン日光〉。その土地に根ざし、歴史や文化を世界に発信する〈ザ・リッツカールトン〉ブランドの精神が息づく美しいホテルだ。四季を通して日光の奥深さを伝える“リッツ哲学”を紹介する。
●歴史ある避暑地に誕生した美しい“邸宅”。
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日光国立公園内に位置し、中禅寺湖畔の歴史的な立地にオープンしたラグジュアリーホテル〈ザ・リッツカールトン日光〉。その魅力は、景観にみごとに溶け込むデザインフィロソフィーにあると言っていい。ここは明治27(1894)年、外国人専用のホテル〈レーキサイドホテル〉が開業した土地であり、いわばリゾートホテルゆかりの地。明治期から欧米の外交官らの避暑地として栄え、独自の文化が育まれてきた場所でもある。そうした歴史を反映した5階建ての低層階からなる佇まいは、「奥日光の自然と調和する邸宅」というデザインコンセプトが随所に散りばめられている。
●奥日光の景観と調和するシームレスなデザイン。
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ホテルはメイン棟、中禅寺湖を望むレイク棟、男体山側のマウンテン棟の3棟からなり、建築設計は〈ザ・リッツカールトン京都〉に続き〈日建設計〉が担当。〈レーキサイドホテル〉時代に植樹された樹齢120余年の古木を大切に残し、窓を極力大きくとったロビーラウンジや客室からは、その樹木越しに中禅寺湖や男体山の景観が堪能できるよう配慮されている。杉材や日光石(安山岩)、大谷石、銅板など栃木県ゆかりの素材が数多く使われ、館内のどこにいても周囲の自然と“繋がる”感覚があり、なんとも心地いい。1世紀の時を生きる木々を視線の先に意識的に残したからこそ、新オープンのホテルでありながら成熟した落ち着きに満たされているのだろう。
「ザ・ロビーラウンジ」では表参道〈櫻井焙茶研究所〉が全国の銘茶を集めた日本茶セレクションが楽しめるほか、日本茶と味わう和のアフタヌーンティーも高い人気を集めている。
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そして呑み助の心を掴むのが、ラウンジエリアの一番奥にある「ザ・バー」。希少な国産銘柄をはじめ国内外のウィスキーが100種類以上コレクションされ、イチゴやワサビ、湯葉、日本酒など地元産の素材を使ったユニークなシグネチャーカクテルも揃う。1日の締めくくりに立ち寄りたい場所だ。
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●眺望と上質な居住性を追求したゲストルーム。
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客室は標準で57㎡と広々。部屋に一歩入ると、床面まで大きくとった窓からの景色に見惚れてしまう。ベッドルームとラウンジエリアを仕切る引き戸もガラス戸を採用し、視界の広さを生んでいる。「鹿沼組子」からインスパイアされた引き戸の意匠や独立型のチェストなど、和のテイストが細やかに盛り込まれている。
そして実際に滞在してみると、ライティングの柔らかさやスイッチの位置など動線の一つ一つが丁寧に考えられていることが分かり、初めて泊まっても不自由を感じることがない。ホテルにおける「ラグジュアリー」や「豊かさ」の表現方法が、単なるゴージャスさから居住性の質の高さへとシフトしつつあるのかもしれない…なんて思ったのだった。
●〈ザ・リッツカールトン〉ブランド初となる温泉施設も!
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天然温泉を有するのも大きな醍醐味。約1200年の歴史を持つ「湯元温泉」の源泉を引き、肌触りのいい硫黄泉が大浴場と露天風呂で満喫できる。温泉で体を芯まで温めてから「ザ・リッツカールトンスパ」でトリートメントを受ければ、効果もより高まるはず。
●〈ザ・リッツカールトン〉ならではのラグジュアリーなプランも登場。
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今秋には、客室で唯一のスイートルーム、277m2の広さを誇る「ザ・リッツカールトン スイート」の宿泊プランや、イタリアの至宝・マセラティで奥日光を疾駆できるプランなど、1日1組限定の贅沢な宿泊プランも登場。四季によって刻々と表情を変える日光の大自然を、よりスペシャルに体感できる。
●コンセプトは「クラフト」。地元食材が彩る日光の食体験。
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その土地の歴史や文化を探求する〈ザ・リッツカールトン〉のフィロソフィーは「食」の分野でも。クラフトマンシップを尊び、知られざる地元食材を貪欲に取り入れる姿勢が頼もしい。〈ハイアットセントリック 銀座 東京〉など名だたるホテルで活躍した早坂心吾が総料理長を務め、「日本料理 by ザ・リッツカールトン日光」、洋食レストラン「レークハウス」、「ザ・ロビーラウンジ」「ザ・バー」の4エリアで楽しませる。地元・海老原ファームの野菜やストレスフリーな環境で育てられた鶏の卵で作るオムレツなど、ヘルスコンシャスな朝食も魅力だ。また、松崎健をはじめとする益子焼の作家と表参道〈リストランテ・ダ・フィオーレ〉の眞中秀幸シェフによる食器ブランド「GENDO(原土)」など、料理に益子焼を合わせるのもうつわ好きには堪らない演出だ。
●日光ならではの“スピリチュアル”なアクティビティ。
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世界遺産に登録される「日光の社寺」。奈良時代から山岳信仰が育まれ、かつて男体山は僧侶のみ入山が許された霊場だった場所。こうした日光の歴史に触れるアクティビティが多数用意されているのも嬉しい。朝の座禅にはじまり、〈日光東照宮〉などを散策する「世界遺産ツアー」や〈日光山中禅寺〉での「護摩祈祷」など、霊験新たかな体験ができる。
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燃ゆる紅葉から、季節はやがて白銀に包まれる冬へ。「オフシーズンと思われがちですが、実は日光は冬が素敵なんです」と細谷真規総支配人が語っていた通り、粉雪舞う夜に静謐なバーで過ごす時間は格別のはず。滞在すれば必ずや日光の奥深い魅力を再発見できる。インバウンドの外国客で大人気となる前に、〈ザ・リッツカールトン〉の哲学が詰まった美しい“邸宅”を訪れてみてほしい。
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