October 8, 2020 | Architecture, Design | casabrutus.com
東京・千駄ヶ谷駅前に突如現れた浮遊する謎の直方体。〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉が初めて手がけた公衆トイレは、包まれる安心感やプライバシーを保ちながら、周囲との繋がりや広がりも感じさせるホテルのような空間でした。
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千駄ヶ谷駅前に現れたコンクリートの直方体。まるで浮遊しているかのような箱型の物体の正体は、実は公衆トイレ。安藤忠雄、槇文彦、坂茂、片山正通らが手がける〈THE TOKYO TOILET〉が話題だが、こちらは別プロジェクトとして、渋谷区と共に〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉が手がけた。
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コンクリートの内側に一歩入れば、そこはまるでホテルのような佇まい。真鍮のサインや照明、アコヤ材の板張り、洗い出し仕上げによる質感のある壁など、従来の公衆トイレのイメージを一新。それぞれの個室は男女別になっているが、建物の入り口には男女のマークはなく、洗面も共有にし、中央に配置した。建物の両端には、車椅子の旋回スペースも設けられ、性別や障害の有無を問わず、安心して使えるようことを目指した。
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外から見ると浮かんでいるように見えるが、実は天井高6メートルから外壁を吊った、大きな箱をすっぽり被せたような構造。プライバシーを守りつつも人の気配や風の流れを感じることができる。「閉じながら、外との繋がりを感じさせたいと思った」と設計者の〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉の谷尻誠・吉田愛は言う。トップライトを取り入れたことで自然光も引き込み、「閉じているけれど、閉塞感を感じない」「重厚感があるけれど、軽さも感じる」空間を生んだ。国立競技場へと続き、世界中の人が訪れるこの場所に、東京の多様性や清潔さ、美しさを印象付ける公共建築がまた一つ誕生した。
・光が移り変わる様子が分かる、映像はこちら。
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