April 6, 2020 | Travel, Architecture, Culture, Design, Food | casabrutus.com
京都・清水で多くの小学生を見送ってきた元清水小学校。歴史的価値のある校舎を活用して新たに誕生したのは、ラグジュアリーなホテルでした。
明治2年に開校し昭和8年に現在の場所に移転された、歴史ある〈元清水小学校〉。京都でも随一の高台に建ち、屋上からは京都市街が一望できる。そんな場所で地域を見守ってきた小学校が、この度ホテルとして生まれ変わった。
トータルプロデュースを手がけたのはA.N.D.の小坂竜。彫刻刀で名前を刻んだ跡すら残る階段の手すりや、ブラウンとホワイトのモザイクタイル、まるで洋館のようなアーチ窓や外観装飾など、この校舎が継承してきた意匠は大切に保存され、内装に生かされた。そのノスタルジックさと小坂らしいモダンなデザインが調和し、ここだけにしかない空間を作り出している。
約7,100平米の広大な敷地を持ちながら、客室はわずか48室。ゲストルームは既存棟と増築棟にあり、部屋の面積は41平米〜136平米と、通常のホテルよりゆったりめにとられている。既存棟の部屋には、天井や窓枠などにもともとあった意匠が生かされた。また、増築棟の部屋では、大きく取られた窓から八坂の塔や美しい市街の街並みが一望できる。その開放感と美しさは、この景色を見るためにここに泊まりたいと思うほど。
ディナーやランチに利用したいのは、敷地内の別棟にオープンした〈ブノワ 京都〉。世界各地でミシュランの星付きレストランを展開するデュカス・パリが監修するビストロで、パテ・アンクルートや牛のロッシーニ、フォアグラなど伝統的なビストロ料理を骨太な調理法で食べさせる。京都牛や大原の野菜など、今後は旬の地産食材も取り入れていくという。デュカス自身が選んだフランスアンティークの什器に囲まれ、東山の景色を眺めながらいただくフレンチは、ここだけしかない特別な食体験になるはずだ。
食後はホテル内のバー〈K36〉へ。「京都にこのバーあり」と言われる〈Bar K6〉や〈Cave de K〉を展開する西田稔氏が手がけるバーだ。バーはメインバー〈K36 The Bar〉とルーフトップバー〈K36 Rooftop〉に分かれる。春は桜、夏は五山の送り火、秋には紅葉と、〈K36 Rooftop〉の360度のパノラマビューから見る京都の景色は、このホテルでしか得られない贅沢。バーとレストランは宿泊者でなくても利用可能なので、まずはここを足がかりにするのもいい。
小学校としての記憶と、世界に誇れるラグジュアリーなサービス、京都ならではの景色を兼ね備えた〈ザ・ホテル青龍 京都清水〉。その唯一無二の魅力を、ぜひ体感してみてほしい。