August 20, 2019 | Architecture, Design, Food | casabrutus.com
東京・青山一丁目の交差点にあるオフィスビル〈青山ビルヂング〉が、大々的にリニューアル。ローマン&ウィリアムスにとってアジア初となる、〈AoyamaTreehouse(青山ツリーハウス)〉を中心とした本プロジェクトを通じて、その仕事の流儀に触れる。
・会員制施設〈AoyamaTreehouse〉
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新しく生まれ変わった〈青山ビルヂング〉をチェックするために来日したローマン&ウィリアムスのふたりを訪ねると、彼らが待っていたのは、円形のスペースに可動式の木製列柱が並ぶ不思議な空間。
「ここは瞑想をするためのメディテーション・ルームです。靴を脱ぎ、ニュートラルな気持ちで人々が交流できるように、シンプルながらも豊かで深みのあるデザインを施しました」(ロビン・スタンデファー)
〈青山ビルヂング〉の2階・3階に誕生した〈AoyamaTreehouse〉は、リーダーシップやコラボレーションを強化する新たな働き方を実現するための会員制施設。リーダーやチームの可能性を最大限に引きだすような環境づくりがデザインの上でも求められ、ローマン&ウィリアムスは、必要に応じて家具もオリジナルでデザインするなど、細部にまでとことんこだわった。
・1Fエントランス&共有スペース
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「高層ビルが建ち並ぶ東京は、まさにコンクリートの塊。華やかさの裏に、暗くてどんよりとしたムードが漂っています。1972年完成のこの建物は典型的なオフィスビルのように見えますが、ところどころにロマンティックな装飾が施されているのが印象的でした。これをヒントに、リニューアルでは複数の要素を多面的に組み合わせつつ、活気ある風景を作り出すことに注力しました」(ロビン・スタンデファー)
共有部分だけでなく、地下1階〜1階に入る飲食を中心としたテナントの店舗デザインも監修。廊下、待合室、エレベーターホールなど、あらゆる場所でローマン&ウィリアムスのデザインの魅力を目にすることができる 。「映画の1シーンのように、風景と人々が連続的に重なり合い、自然に融合していく様子をイメージした」と、二人は話す。
・レストラン〈ARBOR〉
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2階に入るレストラン〈ARBOR〉の窓には、正面にある赤坂御用地の緑が借景として美しく映える。店内を見渡すと、タイル、金属、木といった多様な素材が複層的に重なり合い、絶妙なバランスで共存している。ピシッと均一に仕上げるよりも、多様な要素が同居することで、空間が人々の意識や感覚に溶け込み、自然に馴染んでいく。
「僕は男でロサンゼルス出身、彼女は女性でニューヨーク生まれ。感覚も好みも正反対の2人が出会い、ともに仕事をするなかで、異なるテイストやコンテクストをミックスするのは当然のことになっていきました。スタイルをつくることよりも、完成したものがエートス(持続する習慣)となって、いかに空間に響き渡るかをデザインの軸にしているのです」(スティーヴン・アレッシュ)
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廊下や待合室、エレベーターホールなど、至るところにローマン&ウィリアムズのデザインの魅力が溢れる〈青山ビルヂング〉。
「私たちにとって、単にアジア初というだけでなく、代表作のひとつと呼べるプロジェクトです。デザイン感覚に優れる日本の人々は、良いものにすぐに反応し、ディテールへのこだわりもきちんと理解してくれる。すでに多くの人が訪れ、利用してくださっている様子を見るのはすごく嬉しい」(スティーヴン・アレッシュ)
彼らにとっても大きな意味を示す〈青山ビルヂング〉。多様な人々が交わるクロスポイントとして、東京の新拠点として成長していくことだろう。