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坂 茂設計の温泉施設〈クアパーク長湯〉が大分に誕生!

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July 24, 2019 | Architecture, Travel | casabrutus.com

世界でも珍しい炭酸泉が湧出する大分県竹田市の長湯温泉。その温泉水を利用した療養複合施設〈クアパーク長湯〉が、6月にグランドオープンした。

「このクアハウスの魅力は、やはり長さ50mに及ぶ歩き湯(歩行浴)でしょうね」

建築家・坂 茂がこう話すのは、6月2日にグランドオープンした〈クアパーク長湯〉。温泉を利用した療養施設「クアハウス」と長期滞在可能な「クアホテル」、地元食材を使った自然食を供する「クアレストラン」から成る複合施設である。

施設の中心となる「クアハウス」には温泉棟と、坂の言う歩き湯があり、温泉棟2階に位置する男女別の内湯以外は、すべて水着を着て入るバーデゾーンになっている。

レシプロカル構造の屋根を間近に見ることができる男女別の内湯。もちろん、ここは裸で入浴する。温泉は源泉掛け流しだ。

まず目を奪われるのは、温泉棟にかけられた、美しい曲面を持つ大屋根だろう。長さ1.8mの丸太4本を1ユニットとし、それらが互いを支え合うことで屋根を自由に起伏させるレシプロカル構造を採用。その構造美は、棟内の随所で見ることができる。

訪れたゲストは、レセプションからスロープを上がって脱衣所へと移動。そこから半階上がって内湯へ、逆側に半階下がってバーデゾーンへと向かう。棟内にあるジャグジーやサウナを抜けると、温泉プールから寝湯まで芹川に沿って約50m続く歩き湯が現れる構成だ。

長さ約50mの歩き湯。バーデゾーンでは、オリジナルの水着をレンタル(500円)することも可能。坂の依頼により、デザイナーの森崇が水中での負荷が少なく、身体の線が出にくいデザインを施したという。全4色。

「歩き湯は四季折々の景色を眺めながら歩けるよう、屋根をかけただけの半屋外にしました。建物の中に設けられた通路を行ったり来たりする一般的なスタイルでは味気ないじゃないですか(笑)。自然の中で温泉に浸かりながら、途中にある露天風呂や足つぼゾーン、寝湯を体験する。歩くこと自体が楽しい歩き湯になったと思います」

「クアホテル」の客室には、ペーパーハニカムパネル(紙を蜂の巣状に並べることで強度を出したパネル)をヒノキ合板で挟んだフレームを連続させる構法を採用。フレームの間は家具や収納などに利用している。ツインタイプには、デッキ横に浴室があり、「2方向にある窓を開けると、とても開放的な気分になりますよ」と坂。

敷地内にある、木と紙管で構成された「クアレストラン」は、食事のみの利用も可能だ。

一方、「クアホテル」は、長湯温泉の田園風景に溶け込むようウッドデッキ付きのコテージ形式。シングル2棟、ツイン12棟(うち8棟がロフト付き)の全14棟で、1泊朝食付き1人11,000円〜(時期により変動あり)で宿泊できる。

「飲んで効き 長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」と湛えられる世界有数の良質な温泉に浸かりながら、坂の建築を体験しよう。

〈クアパーク長湯〉

大分県竹田市直入町長湯3041-1 TEL 0974 64 1444。クアハウス:10時〜20時(最終受付)、レストラン:11時30分〜14時LO、17時30分〜20時30分LO、第1・第3水曜・木曜休。クアハウス入館料500円。

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