June 15, 2016 | Art, Architecture, Travel | a wall newspaper | text_Nahoko Funabiki
ベルリンの国会議事堂やパリのポンヌフ橋、マイアミでは島を、コロラドでは川を。大自然から歴史的建造物まで布で梱包する作品を発表してきたクリストの、最新プロジェクトの舞台は40年ぶりのイタリア。
ミラノから東へ100kmに位置するイセオ湖で繰り広げられる本作品は、彼の作品でも初となる「浮き橋」だ。20万個のポリエチレンキューブから構成され、横幅16m、高さ50cm、作品の全長は4.5km。7万平方mの黄色い布でくるまれたこの浮き橋を渡って、誰でも湖に浮かぶ島へと水面を歩いて渡ることができるのだ。
作品実現に至るまでに何十年もかかることもあるが、政治的交渉や経済問題、そこで出会う人々との交流など、その全過程をも作品と見なすクリストは、スポンサーや寄付を一切受けず、経費は構想ドローイングやコラージュ作品等の販売でまかなう。
作品はこの16日間のみ存在し、使用された素材はすべて工業資材としてリサイクルされ、期間後は元の景色に戻る。