December 17, 2018 | Art, Architecture, Travel | casabrutus.com
年々、パワーアップしている展覧会と芸術祭。2019年も注目の企画が目白押しです! 本記事ではカーサが特にお薦めする10件を、会期スタート順にご紹介します。新たにオープン&リニューアルする美術館情報も。
●RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー(2019年1月24日〜3月24日)
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2017年、プリツカー賞を受賞し、世界中から注目を集めたRCRアーキテクツの日本初個展。1988年にラファエル・アランダ、カルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタによって設立され、地元カタルーニャに根ざした建築を作り続けてきた。本展ではこれまでの作品に加え、奈良県吉野町の人々の協力で吉野の木材を使った進行中のプロジェクト「ラ・ヴィラ」を紹介する。「建築とは夢を見るための道具である」という彼らの描く夢とはどんなものか、またその建築で人々がどんな夢を見ることができるのか。詩情あふれる彼らの建築世界への旅ができる。
〈TOTOギャラリー・間〉
東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F。11時〜18時。月曜・祝日休。 TEL 03 3402 1010。入場無料。●クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime(2019年2月9日~ 5月6日)
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2016年、〈東京都庭園美術館〉で開かれた個展や、越後妻有《最後の教室》、瀬戸内海・豊島の《ささやきの森》《心臓音のアーカイブ》などの恒久設置作品で知られるクリスチャン・ボルタンスキー。1944年フランス生まれの彼は肖像写真を並べて電球で照らす、古着の山をクレーンで拾い上げては落とす、影絵の幽霊を踊らせるといった、歴史や記憶、生と死などを思わせる作品を制作している。大阪から始まり、国立新美術館、長崎県美術館を巡回するこの個展は彼の半世紀にわたる活動を振り返る、日本では初めての大規模な回顧展。「展覧会をひとつの作品として見せる」と彼がいうように、美術館全体がボルタンスキーの空間となる。彼の作品の中をさまように歩く、独特の鑑賞体験になることだろう。
〈国立国際美術館〉
大阪府大阪市北区中之島4-2-55。10時〜17時。月曜休。(2月11日、4月29日、5月6日は開館)、2月12日。TEL 06 6447 4680。900円。●ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代(2019年2月19日~ 5月19日)
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故郷のスイスを出てパリで活動を始めたシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)。彼は1918年に芸術にも比例や幾何学など、科学のような普遍的な法則が必要だとする「ピュリスム」(純粋主義)を宣言する。ピュリスム運動は当時、パリの美術界で隆盛していたキュビスムと刺激し合い、後のル・コルビュジエ建築の原動力ともなった。会場の〈国立西洋美術館〉は彼が日本に残した唯一の建築作品であり、また世界に3つしかない彼の美術館建築のひとつ。吹き抜けのホールをめぐるスロープなど、彼の建築を体感できる空間でその原点を見る展覧会になる。
〈国立西洋美術館〉
東京都台東区上野公園7-7。9時30分~17時30分(金曜、土曜は20時まで)。月曜(ただし3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日休。TEL 03 5777 8600。1,600円。●みんな待ってた〈東京都現代美術館〉リニューアルオープン!(2019年3月29日〜)
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改修のため、約3年にわたる休館を経て2019年3月下旬にリニューアルオープンする〈東京都現代美術館〉。それを記念して企画展『百年の編み手たち ―流動する日本の近現代美術―』が開かれる。本展は同館のコレクションを中心に、1910年代から現在までの日本の近現代美術を再考する。明治維新から約半世紀を経た時期の岸田劉生から戦後日本の新しい流れを象徴する靉嘔(あい・おう)、演劇など他分野ともコラボレーションした横尾忠則、さらには加藤泉ら新しい世代まで、実験精神あふれる作品が登場する。東西の文化や歴史をシャッフルし、独自のものを編み出してきた作家たちの姿が浮かび上がる。『MOTコレクション ただいま / はじめまして』も同時開催。
〈東京都現代美術館〉
リニューアル・オープン記念展『百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-』東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)。開館時間、休館日など詳細は未定。TEL 03 5777 8600。●クリムト展 ウィーンと日本1900(2019年4月23日~7月10日)
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2018年に没後100年となるクリムト。日本では過去最大級となる、20点以上の油彩画が見られる展覧会だ。中でも彼の作品を代表する「黄金様式」と呼ばれる作品は金箔を多用したゴージャスで装飾的なもの。住宅の設計や装飾も手がけた彼のデザインセンスが伺える。またウィーンの〈分離派会館〉の『ベートーヴェン・フリーズ』の精巧な複製も見逃せない。長さ34mにもなる壁画には人間の欲望、愛や幸福への希求などが描かれる。クリムトの絵に囲まれる空間体験を日本でも味わえる。
〈東京都美術館〉 企画展示室
東京都台東区上野公園8-36。9時30分~17時30分(金曜は20時まで/休室日、開室時間等については変更の場合アリ)。5月7日、20日、27日、6月3日、17日、7月1日休。TEL 03 5777 8600。一般前売り1,400円(4月22日まで販売)。当日1,600円。●瀬戸内国際芸術祭(春:4月26日〜5月26日、夏:7月19日〜8月25日、秋:9月28日〜11月4日)
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瀬戸内海の直島や高松港で開かれる国際芸術祭。4回目になる今回も、前回・前々回に引き続き春・夏・秋の3期に分けて、田根剛、レアンドロ・エルリッヒ、宮永愛子、栗林隆らが参加して開催される。これまでと同じく島と海の景色を楽しめるアートのほか、うちわや盆栽など、瀬戸内の工芸とのコラボレーションやアジアのアーティストによる作品、アーティストが掘り起こす島の「食」など、場の魅力をより深く味わえる芸術祭になる。芝居やダンスといったパフォーマンスが多く行われるのも特徴。
瀬戸内国際芸術祭
直島、小豆島、豊島、女木島、男木島、大島、犬島、沙弥島(春)、本島(秋)、高見島(秋)、粟島(秋)、伊吹島(秋)、高松港、宇野港。すべての会期で有効な3シーズンパスポート4,800円(前売り3,800円。4月25日までの販売)。会期限定パスポート4,000円。その他、2019年の新規作品を中心に鑑賞しながら、チャーター船で島々を巡るガイド付きオフィシャルツアーなどもある。詳細は公式サイトで確認を。●塩田千春展:魂がふるえる(6月20日〜10月27日)
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ベルリンを拠点に活躍するアーティスト、塩田千春の過去最大規模の個展。黒や赤の糸を部屋じゅうにはりめぐらせたインスタレーションで知られる。今回は大型インスタレーション6点を中心に立体、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の資料など、20年にわたる活動を振り返る初めての展示になる。「魂がふるえる」という展覧会タイトルは言葉にならない感情によって震える心の動きを表現するもの。記憶、不安、夢、沈黙を思わせる舟やトランク、鍵、椅子などが誰にでも共通する普遍的なものを暗示する。
〈森美術館〉
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階。10時~22時、火曜のみ17時まで。TEL 03 5777 8600。1,800円。●岡山芸術交流 2019(2019年9月27日~11月24日)
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岡山市内、岡山城・後楽園周辺で行われる現代美術の国際芸術祭。今回はアーティスティックディレクターにフランスの現代美術作家、ピエール・ユイグを迎え、ティノ・セーガルやパメラ・ローゼンクランツら最先端のアートを展示する。会場には前川國男設計の〈天神山文化プラザ〉〈林原美術館〉や岡田新一設計の〈オリエント美術館〉など建築的みどころも。徒歩で回れるコンパクトな芸術祭であるところも魅力だ。
岡山芸術交流 2019
主要会場:旧内山下小学校跡地、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、林原美術館、岡山県立美術館、岡山城などに加え、岡山県庁前広場など屋外展示。TEL 086-221-0033。●大浮世絵展 ―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演―(2019年11月19日〜2020年1月19日)
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喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳ら江戸時代を代表する浮世絵師5人がそろい踏みする豪華な展覧会。品のいい色気を感じさせる美人画で世界的にも人気の歌麿、歌舞伎役者の大首絵(顔のアップ)で一世を風靡した謎の絵師、写楽。北斎は「Great Wave」の名で知られる『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をはじめ、風景画、花鳥画など、何でも巧みに描いた。代表作『東海道五拾三次』のシリーズで旅心をくすぐった広重、骸骨や妖怪変化が登場する武者絵で人気となった国芳と、5人の個性を楽しめる。
東京都江戸東京博物館
東京都墨田区横綱1-4-1。9時30分〜17時30分(土曜は19時30分まで)。月曜、2019年12月28日〜2020年1月1日休(ただし2020年1月13日は開館)。TEL 03 3626 9974。●金沢に〈谷口吉郎・吉生記念金沢建築館〉が開館します!
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金沢出身の谷口吉郎とその息子、谷口吉生。和の感覚をそれぞれに表現した建築で知られる親子の記念館がこの夏、ゆかりの地・金沢に誕生する。場所は金沢市寺町、谷口吉郎の生家跡地。建物はもちろん谷口吉生の設計だ。企画展示室などのほか、吉郎が設計した迎賓館赤坂離宮和風別館〈游心亭(ゆうしんてい)〉(東京)を復元した広間や茶室がある。金沢には吉郎の設計による〈石川県美術館(現・石川県立伝統産業工芸館)〉〈金沢市観光会館(現・金沢歌劇座)〉〈石川県繊維会館(現・西町教育研修館)〉、吉生が設計した〈鈴木大拙館〉など彼らの作品も。記念館の資料と実際の建物とをあわせて建築の旅ができる。