December 5, 2018 | Architecture | casabrutus.com
建築家の妹島和世が、日本では初めて大学の校舎を設計した。大阪芸術大学のアートサイエンス学科のための新校舎は、UFOのような渦巻き状のシルエットが特徴。ローザンヌ連邦工科大学ラーニングセンター以降、意識してきた「内外のつながり」とは?
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2018年11月、大阪芸術大学に新校舎が完成した。手がけたのは建築家の妹島和世。国内の学校建築はこれが初めてとなる。大阪芸大のキャンパスは、小高い山を切り拓くようにして生まれた広大な敷地。その一番手前の敷地に、妹島の新校舎が建つ。
「ここが丘だったことを想起させるような建築を目指しました」と妹島。切り拓いた丘の登頂が、再び現れたかのような、こんもりとしたシルエット。渦巻き状のスロープが、有機的なカープを描き、周囲の自然とも一体化している。
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妹島のキャンパス建築といえば、SANAA名義で設計したローザンヌ連邦工科大学ラーニングセンターを思い浮かべる人も多いだろう。そう妹島に問うと「ローザンヌのカーブは外に対しては切れているんですよね」と振り返り、あれ以降、外に対しても繋がっていける建築を考えていたと話す。
「今回の新校舎は水平状に広がっていく空間。フラットスラブ(構造床)は縁側のような役割で、内と外を繋いでいます。それを太さの異なる円柱で支え、屋外にも耐震構造のためのブレースを配した。それによって内部に広々としたワンルームを生み出すことができました。大阪芸大の立地は周囲に豊かな自然がある。ガラス張りのこの校舎では、そうした自然の移り変わりも、室内にいながら感じられると思います」
日本で唯一のアートサイエンスを学べる学科には、チームラボの猪子寿之、マサチューセッツ工科大学MITメディアラボで活躍する石井裕、クリエイティブカンパニーNAKED Inc.の村松亮太郎などが客員教授として関わっている。ここから未来のアートサイエンスの才能が生まれることに期待したい。