August 15, 2018 | Food, Architecture, Travel | a wall newspaper | text_Wakako Miyake
甲斐みのりさんの新刊テーマは建築×食べ物。そこには掲載できなかった5軒を特別に公開。
ロマンチックで乙女なデザインが好き、というイメージがある文筆家の甲斐みのりさん。しかし、実は筋金入りの建築好きでもある。ただし、その視点も彼女独特だ。
「建築に興味を持ち始めたのは、京都に住んでいた20代の頃から。ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した駒井家住宅が大好きで。最初はクリスタルのドアノブがかわいいとか、窓枠が素敵だなあとか、細部に目が行っていました。そこからだんだんと建築そのものを見たり、体験するのが好きになっていったんです」
その後、著書『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)にもあるように、趣味でクラシックホテルを泊まり歩くようになり、それにつれて、建築家の名前も覚えていった。「でも、この本でもそうですが、私の場合、いわゆる箱としての建築だけでなく、その建物にまつわる物語に興味があるんです。どういう経緯で作られたとか誰が訪れたとか。その建物が持つ歴史を想像しながら体験するのが楽しいですね」
だから、今回の新刊『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』でも、自分がいつも建築を見る、散歩をするような視点を大切にした。「食べられるところがあると滞在時間が長くなるし、座ると視線が低くなって、ふだんは気づかないようなディテールをじっくりと眺められます。この本が、建築の持つちょっと違う魅力の発見に役立ったら嬉しいです」