May 17, 2018 | Architecture, Art, Travel | casabrutus.com | text_Hisashi Ikai
OMAが設計を手がける〈プラダ財団〉に、新たに〈トーレ〉が完成。アートと呼応しながら観客を魅了する、変則的な空間とは。
ミラノでの立ち寄り先として、必ずリストアップされるアート複合施設〈プラダ財団〉。1910年代に建てられた既存の建物と新しい建築とが融合することをコンセプトに、2015年にオープンした同施設だが、この春に最後の建築〈トーレ〉が完成。2018年5月から一般への公開を開始した。
〈トーレ〉は、日本語で “塔” を示すように、ほかの建物よりも高く空に向かってすっと伸び上がる地上9階建の建物。東側からは、なんの変哲ものない白い四角いビルだが、ぐるりと一周してみると、階ごとに窓が突き出していたり、壁が斜めに削られていたりと、建築の独自性が見えてくる。
「シンプルな形状のなかに変則性を取り入れることで、展示されているアート作品が空間と呼応しはじめる」。そう語るのは、設計を担当したOMA代表のレ ム・コールハース。内部に入ると、さらにその特徴が明らかになる。
展示室は、階によって長方形だったり、台形だったりとサイズも形もまちまち。さらに天井高も最上階が8メートルなのだが、下に降りるたびにどんどん低くなり、一番低い階は3分の1程度の高さ(2.8メートル)しかないので、フロアを移動するたびに新鮮な感覚を覚える。
ジェフ・クーンズ、ダミアン・ハースト、ジョン・バルデサーリ、モナ・ファトゥムなど、時代や地域、表現手法なども異なるアーティストの作品を1つの場所に集結させながら、トーレとともにどのような調和を作り出すかというチャレンジングな常設展『ATLAS』を開催中。また、6階にはレストラン&バーも追加オープンしたことで、さらなる注目を集める。
設計を担当したOMAのレム・コールハース。「プラダとのコラボレーションは、20年以上。絶大なる信頼を寄せています」