March 13, 2018 | Art, Architecture | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
4月でオープン1周年を迎える〈GINZA SIX〉。気持ちのいい吹き抜け空間に、草間彌生の南瓜にかわってダニエル・ビュレンのストライプの旗が登場します!
〈フォンダシオン ルイ・ヴィトン〉の屋根を虹色に変え、2016年の『KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭』では日立駅をカラフルな色の空間に変えたダニエル・ビュレン。1938年パリ生まれ、今年で80歳を迎える巨匠だけれどその勢いは衰えることがない。〈GINZA SIX〉の開業1周年を記念して設置される作品は彼のトレードマークであるストライプを配したフラッグ。〈GINZA SIX〉のダイナミックな吹き抜け空間で赤と青の旗がはためく。その数1500枚、全体の大きさは9m×19mにもなる。
今回は〈GINZA SIX〉の中だけでなく、銀座通りにも彼の作品が進出する。吹き抜けのフラッグと連動した90枚のフラッグが全長1100mにわたって街を彩る。画廊も多くアートのイメージもある銀座だけれど、ストリートにアートが出現することはあまりなかった。ひらめくストライプが街の景色を一変させる。
ビュレンはこの8.7センチ幅のストライプを1965年から使ってきた。色は赤や青、黄色など多彩なもの。素材も今回のような布のほかにガラスや建物の壁、木などさまざまだけれど、ストライプは不変だ。彼にとってストライプは必ずといって使う素材の一つという位置づけなのだ。
今回の作品は期間限定のものになるけれど、ビュレンは他のところでは恒久設置作品も制作している。恒久のものであるか、一時的なものであるかにかかわらず、彼のストライプは空間の感覚をずらし、幻惑させる。ストライプが現れるとそこが平面なのか、凹凸があるのか、一瞬迷うときがあるのだ。瞬間的な錯視によって空間が変容して感じられる、その感覚が私たちをわくわくさせてくれる。
ビュレンは作品を設置する場所の特徴や文脈をていねいに読み込んで作品をつくる。〈GINZA SIX〉と銀座通りを彼なりに解釈した回答が、この作品なのだ。
〈GINZA SIX〉吹き抜けの作品は下から見上げることはもちろん、上のほうから見下ろすこともできる。ビュレンのストライプが見せるさまざまな顔を楽しもう。