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ケリー・ヒルが手がけた〈アマンヤンユン〉が上海に。

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February 28, 2018 | Travel, Architecture, Design | a wall newspaper | text_Kyoko Sekine editor_Rie Nishikawa

悠久の森を再現したリゾート〈アマンヤンユン〉が上海郊外に誕生し、2018年4月にグランドオープンを迎える。ホテルジャーナリストせきねきょうこが訪れました。

リゾートの中心に位置する中庭に立つ「皇帝の樹」には赤いリボンが巻かれている。奥の清楚なヴィラが「楠書房」の入り口。清時代の学校を移築した建物である。

2018年、アマンは創業30周年の節目を迎えている。そして年頭の1月8日に中国4軒目となるアマン〈アマンヤンユン〉が大都市上海の郊外に、静かにドアを開けた。アマンはサンスクリット語で‘平和なる’、ヤンユンは中国語で‛豊かな雲’を指し、雲上から降り注がれる叡智を学ぶことを意味する。

天井の高いシンメトリーの空間は広いロビーラウンジ。建築家ケリー・ヒルらしくモダンと伝統が美しく調和。

アマンヤンユンの広大な敷地には、上海から700kmも離れた江西省撫州市周辺から1万本を超える樹木が運ばれ移植されている。10年以上もかけて‘森を移す’という壮大な計画を遂行したのは、撫州市のダム建設でひとつの町すべてが水面下に沈むことを憂いた撫州市出身の若き企業家、マ・ダードン氏の発案だ。

ほかと比べてもひと際大きい「皇帝の樹」。

中でも、高さ17m、重さ80トンにも及ぶ樹齢千年(周辺住民談)ものクスノキの巨樹は「皇帝の樹」として住民から敬われ、崇められていた御神木。当初は移植に反対していた住民も保存に納得し、今ではリゾートの中央に燦然と鎮座している。傍らには共に運ばれた古井戸が設置され、「皇帝の樹」への水やりをゲストのセレモニーとして、大切に継承している。

随所に水が配され、水面に映る光景もデザインの一部に。

「私は、自分の故郷や周辺地域の歴史的な住居や、何世代にもわたり住民の心の支えであった皇帝の樹、千年以上も生きる勇壮な森の情景が忘れられず、‘歴史の遺産後見人’として次世代に継承することにしました」
と、マ氏は語る。

〈アマンヤンユン〉は、それら樹木とともにあるリゾートである。

4ベッドルームのヴィラも明や清の時代の邸宅であったもの。
客室はいずれも中庭が造られ明るく使い勝手がいい。写真は復元されたヴィラの一画にある「ミンデラックスパヴィリオン」の寝室。客室のデザインほぼ同じ。

クスノキと同時に50軒に及ぶ明・清朝時代の邸宅や学校であった建物がが解体され運ばれ、26軒の客室用パヴィリオンとして再建された。

文化の殿堂として書道、茶道、音楽など、さまざまな知的な体験ができる。

その中でもシンボル的存在といえるが「楠書房」(ナンシュファン)の再現だ。かつて紫禁城に仕える学者たちが文化や学問を習得したといわれる17世紀の学校であった。福建省から移築された優美な建物はここでは知の殿堂らしく茶道、書道、香道、伝統音楽、刷り絵など中国文化の数々が師と共に学べる。

ボクシング用のサンドバックやキックボクシングまで。最新鋭マシンが揃う充実のスポーツジム。

またアマン史上最大級のスパ(2840㎡)も造られた。単なるスパやジムではなく、ウェルネスセンターと位置づけ、をライフスタイルの一環として、専門家と共に研究を重ねたメニューは独自の理論に基づいている。心身のバランスを整え免疫力を高め、人が持つ本来の健康な日常を手に入れるためのメソッドである。

2014年末に誕生したアマン初の都市型ホテル〈アマン東京〉でも同様に充実したスパの存在が注目され、2016年に開業した伊勢志摩の〈アマネム〉では、温泉を有するスパが併設されている。

メインダイニングはイタリア料理の「ARVA」。窓の大きな明るいレストランでは勢いのある北イタリアの伝統料理がサービスされる。

思えば、東京のアマン誕生を機に、新たな未来を感じさせるアマンが描き直された感がある。インドネシアやブータンなどの秘境デスティネーションではなく、都市の中にあるアマンはその土地の文化を学び、心身をリセットし、食を楽しむ場所でもあるのだ。

〈アマンヤンユン〉はそんな、開かれた新生アマンのひとつだ。

Amanyangyun アマンヤンユン

6161 Yuanjiang Road Minhang District, Shanghai, China TEL 0120 951 125(日本語対応、10時〜19時)。アンティークヴィラ13棟、アマンレジデンス13棟、スィート24室。6,500元〜。浦東空港から車で約45分。

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