May 3, 2016 | Architecture | casabrutus.com | text_Keiko Kamijo editor_Akio Mitomi
私たちの街は土木が支えている! 東京・六本木〈21_21 DESIGN SIGHT〉次回企画展テーマは、なんと「土木」。シビル・エンジニアリングという技術に触れる機会となりそうだ。
展覧会ディレクターは、全国の駅舎や橋りょう設計、景観や町づくりなどのデザインを手がける建築家・クリエイティブディレクターの西村浩。イントロダクションでは、自然と向き合う日本の名土木をマップで紹介するほか、プロジェクションやドローイングを通して暮らしにおける土木の背景を見つめる。 「土木オーケストラ」と題された展示空間では、高度経済成長期から現代にいたる土木の歴史を振り返りながら、クリエイティブチーム、ドローイングアンドマニュアルがその迫力を音と映像で表現。ワークヴィジョンズが、土木で用いられる細骨材などの素材や、工事現場で使用する道具を展示構成する。 また土木にまつわる「ほる」「ためる」「つむ」「ささえる」「はかる」をテーマに、多彩な参加作家によるインスタレーション作品を通し、土木の楽しさを体感できる場をつくる。エンジニア集団のヤックル、アーティストの康夏奈(吉田夏奈)、ライゾマティクスリサーチ、WOW、橋梁・構造デザイナーの渡邉竜一、構造エンジニア・建築家のローラン・ネイなどが参加予定だ。 展覧会を前に、ディレクターの西村がメッセージを寄せている。「土木が提供する日常の価値というものは、あまりにも当たり前過ぎて、みなさんになかなか意識してもらえません。それどころか、年度末に増加する道路工事にはクレームの嵐を呼び、災害発生時には土木の敗北がニュースの話題になるように、あまりイメージのよくない非常時にしか話題に上がらないことが、実は土木の悩みだったりするのです。今回の土木展では、そんな縁の下の力持ち的な“見えない土木”を、楽しく美しくヴィジュアライズしたいと思います。どこまでも真面目で堅実な土木と、全く専門外の作家たちとのコラボレーションによる本格的な展覧会は、これまでにない土木業界初の試みで、どんな見方を提示してくれるのか、私自身もとても楽しみです。」
日常を支える土木のダイナミズムに触れ、土木の魅力を堪能できる展示になりそうだ。