April 16, 2016 | Design, Architecture, Fashion | casabrutus.com | photo_Sohei Oya (Nacása & Partners)
text_Hisashi Ikai
editor_Akio Mitomi
〈エルメス〉の最新ホームコレクションが〈テアトロ・ヴェトラ〉を舞台に発表された。会場構成を担当したのはメキシコ人建築家のマウリシオ・ロチャ。石材を積み重ね、その表面を照明で強調。真っ暗な中、ぼんやりと浮かぶ列柱のように連続した空間をつくった。
最高峰の職人技をふんだんに活かしたインテリア小物コレクション《エキリーブル・ドゥ・エルメス》。
新作ソファ《セリエ》。デザインはノエ・デュショフール=ローランス。
「バランス」をテーマにした2016-2017年のコレクションは、家具やインテリア小物を含めたほとんどの作品が、天井から斜めに吊り下げられた板の上で絶妙なバランスを保った状態で置かれている。メインを飾るのはノエ・デュショフール=ローランスがデザインしたソファ《セリエ》。フランス語で馬具職人を示すこのタイトルは、馬具づくりを起源にした高度な技がエルメスのものづくりの根幹であることを示している。
ラファエル・モネオ《オリア・ドゥ・エルメス》。
また、〈天使のマリア大聖堂〉や〈アトーチャ駅〉などの設計でも知られるスペインを代表する建築家、ラファエル・モネオが手がけた椅子《オリア・ドゥ・エルメス》は元々、1960年代に自邸のためデザインした「可能な限り軽く見える椅子」をアレンジしたもの。アルヴァ・アアルトやバウハウスを意識しながら、直線と曲線のフォルムを美しいバランスでエレガントに組み合わせている。
レナ・デュマ&ピーター・コールによる《ピッパ》。
そして、折りたたみが可能な家具シリーズ《ピッパ》は、エルメス家先代当主の妻で、インテリアデザイナーのレナ・デュマがピーター・コールとともに1987年に発表したものを、さらに軽量でモダンなイメージに。
会場の随所に見られる、繊細なラインと豊かな色彩によるテキスタイルや壁紙、デコレーションパネルはアイルランドの建築家・アーティストのナイジェル・ピークによるものだ。
《キュリオシテ・ドゥ・エルメス》ジュエリー・キャビネット
《キュリオシテ・ドゥ・エルメス》時計・キャビネット
展示の一番奥に鎮座する《キュリオシテ・ドゥ・エルメス》ジュエリー・キャビネットと《キュリオシテ・ドゥ・エルメス》時計・キャビネットは、財布の仕組みに発想を得ながら、大切なジュエリーや時計を優雅に収納するための家具。希望に応じて、内部のしつらえをセミオーダーできる。
Hermès Home Universe
〈Teatro Vetra〉Piazza Vetra 7, Milano 〜4月16日。10時〜19時(最終日〜18時)。